官公需法・地域資源法改正でベンチャーと地方企業に追い風か?!

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官公需法・地域資源法改正でベンチャーと地方企業に追い風か?!

2015年8月10日「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律等の一部を改正する法律(以下、中小企業需要創生法)」が施行されました。

これは、官公需法(官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律)と地域資源法(中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律)について、中小企業・小規模事業者に対する需要の掘り起こし、および、地方創生に向けた取り組みの強化を図る改正のために制定された法律です。

この中小企業需要創生法により、ベンチャー企業や地方企業には多くのチャンスが訪れるかもしれません。

中小企業需要創生法の目玉はこれ!

中小企業需要創生法で注目すべきは次の2点です。

  1. 国、公団、都道府県などの官公庁が物品の納入などをする、いわゆる官公需の際に、新規中小企業者への配慮を規定し具体的な施策を決定
  2. 市区町村の積極的な関与による地域ぐるみの取組を促進するとともに、小売・ネット業者等との連携による、「ふるさと名物」の商品開発・販路開拓を支援

1.は官公需法の改正に関するもの、2.は地域資源法の改正に関するものとなっています。

本稿ではこれら改正の速報記事として、中小企業者の方に今すぐ関連するであろう論点をピックアップし解説します。

 

官公需法の改正について

これまで、ベンチャー企業などの創業間もなく実績の少ない企業は、官公庁に知られる機会自体が少なく、官公需の発注先候補として挙げられることはあまりありませんでした。
また、創業間もない企業は信用も十分ではないため、優れた技術を持っていたとしても受注機会は少なかったといえます。

しかし、日本における会社数の99%超を占める中小企業の成長・発展の機会が限られたものでしかないとすれば、本当の意味で実感のある経済回復は成し遂げられません。
さらに、新しく設立される会社は、雇用やイノベーション創出の重要な担い手でもありますので、彼らの受注機会の増大を図ることは、雇用やイノベーション創出に有効な手段だと思います。

そこで、創業10年未満の中小企業者を「新規中小企業者」と定義し、年間22兆円(国が約8兆円、都道府県等が約14兆円!)ともいわれる官公需の一部を新規中小企業者へ配分するために改正法が施行されたのです。

 

地域資源法の改正について

地域資源法は、平成19年の制定以来、国が地域資源を活用した案件を認定してきました。その中には一定の成果を挙げた事例もあるものの、地域の関係者を巻き込んだ取り組みには至らない事例が多かったのも事実です。
また、消費者との接点が少なく、ニーズを把握しきれていないなどの理由から、売上も少額な事例が多いなどの課題を抱えていました。

そこで、市区町村に積極的な関与をさせ、地域ぐるみの取組みを促進するとともに、消費者ニーズに詳しい小売・ネット事業者やNPO法人等の力を販路開拓等に活かせる仕組み作りをし、さらに、農業体験や産業観光といった体験型の観光も支援対象事業に追加することとしました。

 

官公需法の主な改正点

官公需法についての主な改正点は以下の通りです。

  • 新規中小企業者への配慮(第2条、第3条)
  • 国等の契約方針(基本方針)の策定(第4条)
  • 各省各庁等の契約方針の策定(第5条)
  • 契約実績の概要公表(第6条)
  • 中小機構による情報提供(第9条)

本稿ではこれらの中でも特に新規中小企業者に影響のあると思われる、第9条「中小機構による情報提供」について解説したいと思います。

地域資源法の改正論点については後半で解説いたします。

 

「ここから調達サイト」で調達担当者へ積極的にアピールしよう!

2015年8月10日、中小企業庁と中小機構は、新規中小企業者が自社で扱うサービス・物品に関する情報を官公庁へ届けるプラットフォームとして、「ここから調達サイト」を公開しました。

ここから調達サイトtop

「ここから調達サイト」では、新規中小企業者が登録した官公需向け物品・サービスの情報が官公庁に共有されます。

官公庁の調達担当者が、登録された情報を見積もり取得や入札参加呼びかけ等の際に活用することで、新規中小企業者の受注機会の増大が期待されています。

官公庁の調達担当者が調達先を検索する際に使用する画面がこちらです。

ここから調達サイト検索ページ

キーワード検索のほか、創業・設立年月、営業エリア、営業品目などから検索できるようになっています。

「ここから調達サイト」への登録はこちらから行えますが、登録できる事業者は、創業10年未満の中小企業・小規模事業者のみです。

「10年未満」かどうかは年度単位で計算します。
例えば創業・設立年月日が「2004年7月31日」の場合は「2015年3月31日」までを創業又は設立から10年未満と判断されます。10年が過ぎた場合には、企業情報は自動的に非公開となります。

また制度趣旨から、発行済株式の総数又は出資価額の2分の1以上が、同一の大企業の所有に属している中小企業者など、いわゆる「みなし大企業」に該当する事業者の方は対象外となります。

登録は、事業者名、住所、設立年月日、提供する商品・サービス、営業エリア等が必須情報とされていて、これらは一般に公開されます。

その他、よくある質問はこちらからご覧になれます。

「ここから調達サイト」は新規中小企業者が普段なかなか接触機会を持てない官公庁への数少ないアピールの場ですので、新規中小企業者に該当する場合には必ず登録しておくようにしましょう。

 

官公需情報の入手は「官公需情報ポータルサイト」から!

「ここから調達サイト」は、新規中小企業者が自社で取り扱う物品・サービスを官公庁の調達担当者へアピールする場ですが、逆に、中小企業・小規模事業者が官公需情報を入手する場としては「官公需情報ポータルサイト」があります。

官公需情報ポータル

官公需情報ポータルサイトでは、キーワード検索のほか、受注内容や入札方式などからも官公需情報を検索できるようになっています。

 

地域資源法の主な改正点

一方、地域資源法についての主な改正点は以下の通りです。

  • 地域ぐるみの取組を促進するため、市区町村の積極的な関与を法定(「ふるさと名物応援宣言」など)
  • 販売力強化のため、小売・ネット業者・NPO法人等との連携促進
  • 体験型観光への支援追加により消費者嗜好に合った商品開発・販路開拓等を促進

この改正により、各省庁から打ち出されている以下のような関連施策との連携も期待されています。

  • 総務省-地域の元気創造プラン、地域おこし協力隊等
  • 厚生労働省-実践型地域雇用創造事業
  • 経済産業省-ふるさと名物応援事業(ふるさとプロデューサー育成支援事業を含む)
  • 農林水産省-6次産業化ネットワーク活動交付金
  • 国土交通省-道の駅による地方創生拠点形成
  • 観光庁-広域観光周遊ルート形成促進事業、観光地魅力創造事業

本稿では、市区町村の積極的な関与を目的とした「ふるさと名物応援宣言」について取り上げてみたいと思います。

 

「ふるさと名物応援宣言」で、あなたの街の地域資源もブランド品に?!

「ふるさと名物応援宣言」とは、市町村が、地域資源を活用した商品・サービス(これを「ふるさと名物」と呼ぶようです)を応援することを宣言することで、地域資源のブランド化などの旗振り役となり、市町村に地域資源による地方創生に積極的に関与させようというものです。

また、市町村が「ふるさと名物応援宣言」をすることで、後述するような様々な優先措置が受けられることになっています。

なお、ふるさと名物として活用する地域資源とは以下のものを指します。

  • 地域の特産物として相当程度認識されている農林水産品、鉱工業製品
  • 地域の特産物である鉱工業製品の生産に係る技術
  • 文化財、自然の風景地、温泉その他の地域の観光資源として相当程度認識されているもの

地域資源となるには都道府県から指定を受けなければなりませんが、今回の地域資源法の改正によって、市町村から都道府県に対し地域資源の指定に関し申し出を行うことができるようになりました。また、申し出を受けた都道府県はこれを尊重すべきことが規定されました。

なお各都道府県が指定している地域資源については、中小機構が運営する中小企業ビジネス支援サイト「J-NET21」で公表されています。

 

市町村が「ふるさと名物応援宣言」をするための手続き

「ふるさと名物応援宣言」は、大きく分けて「内容の検討・決定」と「ふるさと名物応援宣言の実施」という2つのステップを経ます。

1.内容の検討・決定

「ふるさと名物応援宣言」をする対象である「ふるさと名物」を何にするか、支援はどのようにしていくのか、といった内容について検討し決定します。

検討・決定の方法は地域資源を活用する事業者や、当該事業者を支援する関係団体の意見を聴取するなど、その地域の実情に応じて実施します。

ここで、住民、地域の事業者や関係団体、金融機関、NPO法人、商工会議所、組合、協会など、地域の関係者をどれだけ巻き込めるかが、地域ブランドを育てるため鍵になります。

役場からのトップダウンや、密室で行われた決定では、多くの人に愛される地域ブランドは育ちません。 関係者等へのヒアリングはもちろん、協議会を開催したり、住民から広く意見を募るなどして、オープンな場で、多くの人を巻き込むための仕掛け作りが重要です。

また、それらの意見を取りまとめ、プロジェクトをリードする役割を担う人材の育成を目的とした「ふるさとプロデューサー育成支援事業」も用意されています。

「ふるさとプロデューサー育成支援事業」については後述します。

なお、「ふるさと名物応援宣言」の作成に当たっては、中小企業庁から地方自治体向けのガイドラインが出されていますので確認してください。

 

2.「ふるさと名物応援宣言」の実施

ふるさと名物応援宣言の内容が決定されたら、次は自治体のホームページや記者発表を通じて、実際に「ふるさと名物応援宣言」を公表します。この場合もなるべく多くの人に情報が発信されるように公表の方法を工夫する必要があります。

また、公表については、地域を管轄する経済産業局にも連絡します。そうすることで、補助金の優先採択や、ふるさとプロデューサー育成事業の研修への優先参加ミラサポでの情報発信といった優先措置が受けられます。

原則として、補助金の優先採択および研修への優先参加は「ふるさと名物応援宣言」が上記ガイドラインに合致したものとして、中小企業庁がウェブサイトで当該「ふるさと名物応援宣言」を公表していることが条件となります。

 

「ふるさとプロデューサー育成支援事業」でポスト佐藤可士和の育成なるか

地域資源による地方創生には、地域の多様な関係者を巻き込み、地域資源をブランド化し、域外に販路を広げ、域内に人を呼び込むことができる人物の存在が不可欠です。

例えば、今治タオルの事例では、不振にあえいでいた地場産業が、佐藤可士和氏という強力なプロデューサーの力を得て、世界的なブランドに成長しました。

「ふるさとプロデューサー育成支援事業」とは、このような人材の育成を支援する事業です。
実績のある「ふるさとプロデューサー」と呼ばれる講師の下で、インターンシップ研修が行われ、100日間程度の長期プログラム「FLAG」と30日間程度の中期プログラム「BRIDGE」の2つのコースがあります。

それぞれのプログラムの応募と問い合わせ先はこちらは下記になります。地域創生に興味のある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

 

まとめ

本稿では中小企業需要創生法の速報として、中小企業者の方に今すぐ関連するであろう論点をピックアップし解説いたしました。

官公需法も地域資源法も、ともに制度の中に危うさを抱えているのも事実です(例えば、官公需法では実績の少ない企業による納入物の品質の低下が懸念されますし、地域資源法では自治体と企業の不健全な癒着問題などがすぐに思い浮かびます)。
しかし、どんな法も技術も知識も結局は道具でしかありません。
時に、包丁が人を傷つけるように、会計が投資家を欺くように、最終的には道具を使う人間の意思にかかっているのだと思います。

官公需法も地域資源法もその理念は全うなもので、理念に沿った運用がなされれば、ベンチャーの成長・地域の創生、ひいては我が国の発展に有効な施策であることは間違いありません(もちろん、そのためには私たち専門家にも公正な態度が求められることは言うまでもありません)。
ベンチャーと地方の健全な発展を心から望みます。

 

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