アイデアのつくり方 5つのステップとある1つのストーリー

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ノートとペン

アイデアはどのようにして生まれるのか?

あなたのそばにも「なぜ、あの人は新しい発想を次々と思いつくのだろう?」と思うようなアイデアマンがいるのではないでしょうか?
そして「自由自在に新しい発想やアイデアが生まれれば…」とも思っているのでは?

今回は、この「アイデア」がどのように生まれるのかについて重要な提言をしているある2人の人物を紹介し、彼らの方法論をあなたのビジネスにも活かしていただければと思います。

その2人とは、『アイデアのつくり方』の著者ジェームス・W・ヤングと『イノベーションのアイデアを生み出す七つの法則』の著者スティーブン・ジョンソンです。

本稿の前段では彼らの提言するアイデア発想プロセスを考察します。
そして後段では、あるティーンエイジャーがそのアイデアで世界を大きく変えたストーリーを紹介し、彼のアイデア誕生の過程がヤングとジョンソンの方法論とぴったりと一致していることを示してみたいと思います。

ヤングとジョンソンの方法論は一朝一夕にアイデアを手にする方法ではないかもしれません。しかし、今後のあなたの人生において大きなヒントを与えてくれるでしょう。

ヤングの提言したアイデア発想のプロセス

アイデアのつくり方

今や古典ともいえる名著『アイデアのつくり方』でジェームス・W・ヤングは、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と喝破し、さらにアイデアは以下のような明確なプロセスを辿って誕生し、発展すると述べています。

アイデア発想のプロセス

  1. 資料収集の段階
  2. 資料の咀嚼段階
  3. 無意識へ委ねる段階
  4. アイデア誕生の段階
  5. アイデアを具体化・展開させる段階

ヤングによれば、優れたアイデアは必ずこの5つの段階を経て生まれるということです。

ヤング以降にも、アイデア発想法に関する書籍は多数出版されていますが、その多くがヤングの方法を言い換えたり、具体化しただけに留まっている状況からも、この本がアイデア発想の本質を見事についていることが伺えます。

しかし、ヤングの方法論の詳細に入る前に、まずは本日のもう1人の主役スティーブン・ジョンソン氏に登場願いましょう。

下の動画は、TEDでのジョンソンのスピーチです。
このジョンソンのスピーチにもアイデア発想に関する重要な指摘が含まれていますので、まずはこちらをご覧になってみてください。

さて、いかがだったでしょうか?

実は今回のスティーブン・ジョンソンのスピーチも大枠はヤングの方法と合致した方法で進んでいます。
彼はコーヒーハウスから話を始め、コーヒーハウスがこれまで500年にわたって知的創造の発展と普及を担ってきたと主張します。
コーヒーハウスでさまざまな経歴・知識を持つ人々が出会い、語り合うことでアイデアが混じりあうのだと主張します。
(このあたりは小林章夫著『コーヒー・ハウス』が詳しい。)

現在ではその役割の大半がインターネットに移ってしまったようにも思えますが、ここではその話には深入りしません。
いずれにせよ、コーヒーハウスのような多様な人物が交流する場は、「アイデアとは新しい組み合わせである」というヤングの指摘からも、アイデアの誕生に最適な場だと言えるでしょう。

ジョンソンはさらに、脳内のニューロン・ネットワークの様子や自動車部品のみで作られた保育器といった実例を挙げ、主張を裏付けていきます。

そしてアイデア創出の「場」として、ジョンソンが「流動性ネットワーク」と呼ぶアイデアが生まれやすい環境をオフィスや研究室に用意することが重要だと説きます。

ジョンソンがアイデア創出に必要な要素として挙げたのは「新しい組み合わせ」だけではありませんでした。
彼は抜け目なく、「ゆっくりとした予感」という概念も掲げています。優れたアイデアには長い熟成期間が必要だということです。

ジョンソンの言う「ゆっくりとした予感」、ヤングの言葉にすれば「無意識へ委ねる段階」というのは、まさにこの熟成期間をさしています。

 

アイデアのインキュベーターとしての熟成期間の重要性

砂時計

ではなぜ熟成期間が重要なのでしょうか?

実はこの熟成期間こそがアイデアのインキュベーター(孵卵器)であり、アイデアの誕生の瞬間を神秘的なものにしていると言えるでしょう。
アイデアが目の前に現れ、無から有が生まれるようなあの感覚は、熟成期間があってこそもたらされるものなのです。

ジョンソンのスピーチでのチャールズ・ダーウィンの例が見事にこれを説明していますので、ここで再度紹介しておきます。

ダーウィンはその自伝の中で、1838年10月、彼がマルサスの著書を読んでいる最中に自然淘汰の基本アルゴリズムに関するアイデアをひらめいたと記しているそうです。

しかし、ハワード・グルーバーという学者がダーウィンのノートを調べ返したところ、ダーウィン自身が「ひらめいた!」と感じた10月よりずっと前に、自然淘汰に関する理論が出来上がっていたことを示す記載が見つかったというのです。
すなわち、ダーウィンは既に理論の種となる要素を手に入れていたにも関わらず、それらを理解し繋げられていなかっただけだったのだと。

この逸話は、アイデアとは突然降ってくるものではなく、既に各人の頭の中にあるアイデアの種とも言えるものが、長い熟成期間を経て、一見無関係にも思える新しい事柄に刺激されることで有機的に結びつくことで、ようやく意識できる形になって目の前に現れるものであるということを示しています。

つまり、実はアイデアは完全な無から突如生まれるのではなく、すでに頭の中にあるのですが、まだ意識できていないだけだというのです。
意識できないからこそ、アイデアが無から生まれたような感覚になり、神秘的なもののように思えるのです。

前掲のヤングの書では、この「無意識に委ねる段階」には、目の前の問題を忘れ、映画や音楽を鑑賞したり、友人とのおしゃべりを楽しんだりと、創造性をかき立てられる体験をすることを推奨しています。

みなさんも、ある朝目覚めたら突然、頭を悩ませていた問題の解決への筋道が浮かんだり、どうしても共感できなかった小説の一節がある事柄によってありありと理解できるようになったりというような経験があるのではないでしょうか。

アイデアの発想にはこうした熟成期間が必要だということです。その熟成期間にインプットされるランダムな刺激によって、卵の殻を割る雛の最後の一突きのように、突如として視界が開けるのです。

そして最後にジョンソンはジョンズホプキンズ大学のある研究者の単純な好奇心が、GPSの開発につながった例を挙げています。
この辺りはヤングの「アイデアを具体化・展開させる段階」に対応していると言えます。
良いアイデアは、それに触れた人たちを刺激し、さらなるアイデアを生み出し発展していくことの好例だと思います。

アイデアで世界を変えた少年のアイデア発想プロセス

さて、ヤングの「アイデアのつくり方」はこのようにアイデアが誕生するプロセスについて、非常に簡潔にまとめられた書です。
それはアイデアが誕生するプロセスについて極限まで蒸留してエッセンスを抽出し、それをどのような活動にも応用可能にした名著だと言えます。

しかし一方で、応用可能性を高めた結果、一読しただけでは理解し実践するのが難しい、薄いながらも手強い本になっています。

そこで本稿では、あるティーンエイジャーが、近しい人の死をきっかけに世の中の問題を解決する術を探求し、手にしたアイデアを具体化させていく過程をとても魅力的に語ったスピーチを、同じくTEDから紹介したいと思います。

スピーカーはこのストーリーの主役ジャック・アンドレイカという少年本人です。

スピーチをご覧頂ければ、彼のたどった過程がまさにヤングの方法とぴったりと一致していることがわかると思います。

スピーカーであるジャックがどのようにアイデアを手に入れたかを追体験することで、ヤングの方法論をより具体的に理解できると思います。

ヤングの提唱するアイデア誕生のプロセスを再掲しておきますので、ジャックのスピーチがどの段階に対応するか照らし合わせながらご覧いただければと思います。

アイデア発想のプロセス

  1. 資料収集の段階
  2. 資料の咀嚼段階
  3. 無意識へ委ねる段階
  4. アイデア誕生の段階
  5. アイデアを具体化・展開させる段階

それでは、どうぞ。

ご覧いただけましたでしょうか?

それでは早速、このスピーチを基にヤングの書を読み解いていきましょう。

 

アイデア発想のプロセス 第1段階「資料収集の段階」

スピーチの冒頭、ジャックは叔父とも呼べる人の死をきっかけに、彼を死に追いやったすい臓がんについての情報を集め始めます。

そう。第1段階「資料収集の段階」です。

ヤングは「資料収集の段階」では、人生とこの世の様々な出来事についての「一般的知識」と製品と消費者との関係の特殊性、すなわち「特殊知識」の両方を収集することが重要だといっています。
ジャックが集めた様々な統計データ、現在行われている治療方法、すい臓がんの兆候を示す特定のタンパク質などがまさに「特殊知識」の収集に該当します。

そしてその過程で問題の背景(一般的知識)についても貯えられていったことは想像に難くないでしょう。

現代の少年よろしくジャックはGoogleやWikipediaを駆使して、ついにすい臓がんになると検出されるタンパク質のデータベースへとたどり着きます。

 

アイデア発想のプロセス 第2段階「資料の咀嚼段階」

第2段階の「資料の咀嚼段階」とは、第1段階で集めた資料を頭の中でころがし、様々な組み合わせを試す段階です。

ヤングは、この段階は徹頭徹尾頭の中で進行すると言っています。

したがってこの段階はジャックのスピーチで明示されてはいません。

ですが、彼がすい臓がんの検出センサーに要求した、安く、早く、簡単で、高感度で、判定度が高く、低侵襲であるといった基準はこの段階で確立されたものでしょう。

そして彼はこの基準を軸に、すい臓がんの兆候の検出に使える信頼性の高いタンパク質を絞り込んでいきます。

 

アイデア発想のプロセス 第3段階「無意識へ委ねる段階」そして…

さて、第2段階が終われば第3段階「無意識へ委ねる段階」へと移ります。

そして第4段階「アイデア誕生の段階」はいつも突然に訪れるのです。

前述の通り、ヤングは第3段階では自分の想像力や感情を刺激する物に触れることを推奨しています。ジャックにとってそれは最先端の科学記事でした。

そして、ジャックが「イノベーションが最高に抑制されている場所」といった学校の授業中であるにも関わらず、第4段階すなわち「アイデア誕生の瞬間」は訪れました。

重要なのは、彼はその科学記事と生物の授業とを結びつけようと意識していたわけではなかったということです。それらはまさに無意識のうちに結びつき、彼をずっと悩ませていた問題の解決策として突如姿を現したのです。
それはまるでマルサスの論に刺激を受けたダーウィンのように。

 

アイデア発想のプロセス 第5段階「アイデアを具体化・展開させる段階」

さて、生まれたばかりのアイデアを育てていくのは第5段階「アイデアを具体化・展開させる段階」です。

この段階でヤングが強調するのは忍耐強さです。アイデアを現実の世界に適合させ、具体化させるためには忍耐強さが必要不可欠であり、多くの場合アイデアが失われるのはこの段階であるとも言っています。

幸いジャックには忍耐強さが備わっていました。
彼が研究所の使用を求めるために送ったメールは99%却下され、20人もの大学教授の詰問にあい、当初の手順の多くを修正しながらも、ついに彼はアイデアを検出センサーの要求水準を満たす小さな検査紙に落とし込み具体化させました。

しかし、彼はこれで終わりではないと言います。この技術は他の疾患にも応用しうるはずだと。
ヤングも、良いアイデアというのは自分で成長する性質を持っていると言います。これが展開の段階です。

そしてITの発達著しい現在、「機械との競争」の著者エリック・ブリニョルフソンが言うように、この発展性は指数関数的になり、良いアイデアのもつパワーは、以前とは比較にならないほど大きくなってるように感じます(エリック・ブリニョルフソンについては、またいつか採りあげます)。

ここまで読んできても、自分には優れたアイデアを出す能力などあるはずがないと思われている方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、本当にそうでしょうか?

ヤングに言わせれば、アイデアの創造は一定の明確な過程であり、技術を修練することによって可能になるものなのです。そしてこれまで見てきたように、彼はその方法を惜しみなく開陳しています。

ジョンソンもそのスピーチでアイデア創造の場がどのようなものであるべきかについての考えを提示してくれています。

その他にも多くの有識者たちが、アイデア創造についての具体的な方法を書籍で、インターネットで、メールで教示してくれています。

そうであれば、技術の修練に取り組まない理由はありません。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

力量不足は承知の上で、ジャックの素晴らしいストーリーに力を借りながら、ヤングの名著に挑んでみました。

今度は是非あなた自身のストーリーで挑んでみてほしいと思います。僕も僕自身のストーリーで挑みます。

最後にヤングの回りくどいけども勇気づけられる言葉を贈り、みなさん(と僕自身)の背中を押して終わりとします。

『神の申し子である人間がすべて翼を持っているわけでないにしろ、

諸君のすべてがその翼をもつ人間の一人でありたいと望みうる程度には

多くの人々がこの翼を持っている』

ジェームス・W・ヤング

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