保存版-会社設立の流れと必要書類を徹底解説!

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会社設立手順

2006年5月、新しい会社法が施行され、「資本金が1円でも会社を設立できる!」と話題になったのを覚えている方も多いと思います。
この時は「1円」というキャッチ―なキーワードのみが注目されましたが、新会社法によってその他にも会社設立が容易になった点が多くあります。

そこで、今回は改めて、実際に会社を設立するにはどのようなステップで行えばよいのか、必要書類をどのように作成するのかについて、詳細に説明したいと思います。
是非、この記事を参考に、会社設立にチャレンジしてみてください!

会社設立の2つの方法、発起設立と募集設立

会社を設立するには発起人の存在が不可欠です。

発起人というのは、会社の設立段階においては、その会社の設立を中心となって行う人のことを言います。発起人の人数や資格に制限はありませんが、各発起人は、少なくとも設立時発行株式を1株以上引き受けなければなりません。
発起人は、事実上会社の設立に参加するかどうかを問わず、定款に署名押印した人のことを言います。形式的に発起人を定めることで、未完成な会社を完全な会社に成長させる義務を負わせています。

さて、一口に会社設立と言っても、株式会社の設立には二つの方法があります。発起設立と募集設立という方法です。

発起設立とは、発起人が設立時の発行株式の全部を引き受ける設立方法であり、一方、募集設立とは、発起人が設立時発行株式の一部しか引き受けず、残りは他の人から募集する設立方法です。

大規模な会社を設立するには募集設立の方が適しているといえますが、発起設立に比べ手間がかかってしまいます。
特に会社法が改正された現在では、多くの会社が、初めは発起設立によって会社を設立し、会社のステージに合わせ第三者からの投資を受け会社規模を拡大していくというやり方をとっているようです。
そこで、以下では特に断りのない限り株式会社の発起設立について説明いたします。

発起設立による会社設立のステップは大きく以下のようになります。

  1. 定款の作成・認証
  2. 法務局にて設立登記
  3. 設立後の手続き

それでは早速各ステップの詳細に解説に移っていきたいと思います。
その過程で、必要な書類とその作成上の注意点などにも触れていきます。

 

会社設立の事前準備、定款の作成・認証

会社を設立する事前準備として、個人事業主として事業をすることとの税金上・社会保険上の比較、株式会社にするか合同会社など他の会社形態にするか、出資形態はどうするか、発起人を誰にし、それぞれの持分はどうするか、などを考えることも欠かせませんが、実質的な会社設立は定款の作成から始まると言ってよいでしょう。

定款とは会社の目的や組織、業務執行、社員の地位などについての根本的な規則を定めたもので、会社を設立する際に必ず作成しなければならない書類の一つです。

定款を紙ではなく電子で作成することも可能です。電子で作成した定款は後述の収入印紙4万円が不要となりますが、電子証明書の発行に時間がかかりますし、システムの導入などで余計な費用がかかってしまいますので、ご自身で定款を作成する際には紙で定款を作成することをお勧めします。

会社の設立は会社法に則って行わなければなりませんが、現在の会社法は2006年に商法、有限会社法などを一本化し施行されたものです。この際、「定款自治の拡大」が会社法の大きな特徴として注目されました。

定款自治とは定款の定めによって会社を運営していくということです。意思決定機関をどうするか、どのような種類の株式を発行するかなどを定款に記載し、会社はそれに沿って運営されるということです。

では、具体的に定款にはどのような事項を記載すればよいのでしょうか。

定款に記載される事項は、絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項の3つに分けることができます。

絶対的記載事項は、その記載がないだけで定款全体が無効となってしまう、定款に必ず記載しなければならない事項のことです。

相対的記載事項は定款に定めることで、その事項の効力が認められるものを言い、仮に記載がなくとも、定款自体は有効であるものを言います。
つまり、その事項の効力を望む場合には必ず定款に記載する必要があり、株主総会決議や取締役会決議で定めても効力は生じないものを指します。
会社法の定款自治を重視する姿勢から、法律の各条項に一応の定めがある事項についてであっても、定款で異なる定めを置くことができる場合には、逐一その条項に明記しています。したがって、会社法において「定款により別段の定めをすることができる」などの文言がある場合には、その事項が相対的記載事項ということになります。
これを裏から見れば、法律に「定款により別段の定めをすることができる」旨の規定がない場合にはそれと異なる定款の定めはできないということです。

一方で、法律の各条項に定めが無い事項については、定款には公序良俗または会社の本質に反しない限り、どんな事項でも定めて構いません。このように、あえて定款に定めることで内容を明確にしている事項を任意的記載事項と言います。
任意的記載事項はその記録を欠いても定款自体は有効ですし、別途株主総会決議や取締役会決議等で定めることもできますが、定款に記載した場合には、定款に定めた範囲で株主その他の内部の者を拘束し、それを変更するには定款の変更が必要になります。

それぞれの具体的な記載事項は以下の通りです。

絶対的記載事項

  1. 目的
  2. 商号
  3. 本店の所在地
  4. 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
  5. 発起人の氏名又は名称及び住所
  6. 発行可能株式総数

発行可能株式総数については,定款作成時に定める必要はありません。設立中の株式引受け状況を見極めながら,設立登記の申請時までに定款に定めればよいことになっています。この点で他の絶対的記載事項とは性質が異なります。

 

相対的記載事項

  1. 変態設立事項
  2. 全部の株式の内容に関する特別の定めに関する事項、種類株式に関する事項
  3. 単元株式数に関する規定
  4. 単元未満株式についての権利の制限
  5. 株主総会の定足数の加重軽減排除に関する規定
  6. 取締役の任期の短縮及び伸長規定
  7. 監査役の任期の伸長及び補欠監査役の任期の短縮規定
  8. 累積投票制度の排除の規定
  9. 取締役会の招集通知の期間短縮に関する規定
  10. 取締役会の定足数・決議要件の加重に関する規定
  11. 会社の公告方法

 

任意的記載事項(例示)

  1. 名義書換その他の株式事務に関する手続き
  2. 定時株主総会招集の時期
  3. 株主総会の議長
  4. 決算期
    など

なお、このように設立当初の定款を、会社設立後において変更された定款と区別するために「原始定款」と呼びます。
それぞれの具体的な説明は「会社設立のキモ、定款の書き方逐条解説!雛型プレゼントも!」でしていますので、参考にしてください。

以上のような事項を定め、発起人のみならず、会社に加入する株主、取締役などの会社の機関を拘束する定款ですが、株式会社の定款は作成すれば自動的に有効となるわけではありません。
定款が効力を有するには、公証人法に基づき法務大臣が任命する公務員である公証人の認証が必要となります(合同会社などの持分会社の定款は公証人の認証は不要です。そのため後述する認証費用はかかりません。ただし、定款の原本には株式会社と同様に収入印紙4万円を貼る必要があります)。

公証人は全国に約300ヶ所ある公証役場にいますので、定款の認証を受けるには会社の本店の所在地を管轄する公証役場に行けばよいことになります。

しかし、定款を持っていきなり公証役場に行ってもスムーズに認証してもらえることはまれでしょう。公証役場によっては定款の原案をFAXなどで送れば事前にチェックしてアドバイスをもらえることもありますので、まずは公証役場に問い合わせてみましょう。

公証役場へ問い合わせの際のポイント

  • 管轄の公証役場か
  • 定款を事前にチェックしてもらえるか
  • 訪問希望日の公証人のスケジュール
  • 訪問日の持参物

基本的な持参物としては、以下のものが必要です。

  • 定款3通(公証人保存用、会社保存用、登記用)
  • 発起人全員の実印および印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
  • 公証人保存用の定款に貼付する収入印紙4万円

また、会社が発起人の場合は、代表者の印鑑登録証明書のほかに会社の登記簿謄本が必要です。

定款には発起人全員の署名押印が必要です。
また、各頁の継目に発起人全員の割印が必要です(割印は忘れがちですので注意しましょう)。
定款に1字でも加除訂正があると、発起人全員の訂正印が必要ですので、あらかじめ定款の欄外などに発起人全員の捨印も押しておきます。

押印漏れなどがある場合に備え、公証人役場には発起人全員で行くことをお勧めします。

行くことができない発起人がいて代理人をおく場合には、行くことができない発起人全員の委任状のほか、代理人の身分証明書と印鑑が必要です。

定款の認証には、定款認証手数料5万円がかかります。
また、公証人保存用の定款には4万円の収入印紙を添付して消印する必要があります。

公証役場で定款の認証を受けると、出来上がった定款の謄本が交付されますので、これを法務局に持参し法人設立の登記手続を行うこととなります。
謄本の交付は1ページにつき250円の謄本交付費用がかかります。

 

法務局にて会社の設立登記

「法務局にて」と書きましたが、設立登記は直接法務局に申請書類を持参するほかにも、郵送やオンラインによってもすることができます。しかしながら、申請書類が受付けられた日が会社設立日となること、申請書類に不備がある可能性があることを考えると、直接持参する方法をおすすめします。

設立登記は本店所在地を管轄する法務局にて、資本金の払込後2週間以内に代表取締役などの代表者が行うこととなります。期間内に登記を行わなかった場合、100万円以下の過料が課される可能性もありますので、遅滞なく行いましょう。

法務局の受付時間は平日の午前8時30分~午後5時15分で、登記を申請した日が会社の設立日となります。

設立日にこだわりがある場合には、その日に法務局へ行くことになりますが、こだわりが無い場合にはちょっとした節税テクニックがあります。

まず、「会社が死ぬときにあなたができること。解散・清算そして休眠」でも説明しましたが、会社を設立すると法人住民税の均等割が毎年最低でも7万円課税されます。
しかし、法人住民税の均等割は、設立初年度など1年に満たない場合には、月割で計算されます。この場合の月数は暦に従って計算され、1月に満たない場合は切り捨てられます。
したがって、例えば4月1日よりも4月2日に設立登記したほうが、6,000円弱(=7万円÷12ヶ月)節税できることとなります。

さらに、資本金が設立初年度の期首と設立2年目の期首において1,000万円未満である場合には、設立初年度の事業年度を7カ月以下にする(3月31日が期末であれば設立日を9月1日以降とする)ことで消費税の免税期間を最長とすることもできます。

この点について詳しく説明すると、 消費税は前々事業年度を基準期間とし、基準期間の(課税)売上高が1,000万円超となる場合に課税されます。
設立初年度と設立2年目は基準期間が存在しないため、基本的には消費税の納税義務はありません。

設立2年目までは基準期間は存在しない

ただし、設立新会社のように基準期間がない会社であっても、事業年度開始の日の資本金の額(資本準備金の額は含みません)が1,000万円以上である場合には納税義務を免除しないこととする特例が設けられています。
そのため消費税の免税事業者となるには、必ず期首の資本金を1,000万円未満に抑える必要があります。

免税事業者となるには期首の資本金を1000万円未満に抑える

また、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合には、課税事業者となるともされています。

特定期間とは、「その事業年度の前事業年度開始の日から6ヶ月間」のことですので、設立初年度は特定期間は存在しません。

しかし、設立2年目は特定期間が存在する可能性がありますよね。設立2年目から見て設立初年度の6ヶ月間が特定期間となり、この期間の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者となり、納税義務が発生します。

基準期間が無い場合でも特定期間で判定される

ですが(逆接の接続詞ばかりですみません…)、実はこの特定期間の定義には例外があって、前事業年度が7ヶ月以内であれば、特定期間は「その事業年度の前々事業年度開始の日から6ヶ月間」とされるのです。

これを設立2年目に当てはめると、設立初年度が7ヶ月以内であれば、特定期間である前々事業年度は存在しないことになり、消費税の納税義務が免除されるのです。

設立初年度を7ヶ月以内にすれば特定期間も存在しない

すなわち、資本金が設立1期目中ずっと1,000万円未満にし、かつ、設立1期目の事業年度を7カ月以下にすることで消費税の免税期間を最長とすることができます。

ただし、免税事業者となると受取った消費税より支払った消費税が多い場合であっても還付を受けることができなくなってしまいます。そのため免税事業者となる期間であっても、あえて課税事業者となることを選択するという節税法もあります。どちらが有利になるかは取り扱う商品や業態などにもよりますので、顧問税理士に相談することをお勧めします。

また、特定期間における1,000万円の判定を、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。

話が脱線してしまいました。法務局での設立登記についての説明に戻りましょう。

申請書類として法務局に持参すべきものは以下の通りです。

  • 株式会社設立登記申請書
  • 登録免許税納付のための収入印紙貼付用台紙
  • OCR用申請用紙または登記すべき事項を保存したCD-RかFD
  • 定款
  • 発起人の同意書
  • 発起人決定書
  • 就任承諾書(設立時代表取締役、設立時取締役、設立時監査役それぞれ人数分)
  • 設立時取締役全員の印鑑証明書(取締役会設置会社の場合は設立時代表取締役の印鑑証明書のみで良い)
  • 払込を証する証明書
  • 印鑑届出書

それぞれについて説明していきます。

株式会社設立登記申請書

「株式会社設立登記申請書」は、法務省のHPからダウンロードできます。

記載例はこちらです。

合同会社の場合はこちらをお使い下さい。

「株式会社設立登記申請書」については記載例を参考にしていただければ、迷うことはないと思います。

その他の添付書類については、以下を参考に作成してみてください。

 

登録免許税納付のための収入印紙貼付用台紙

上記からダウンロードした「株式会社設立登記申請書」にある「収入印紙貼付台紙」のページに登録免許税として収入印紙を貼り付けます。
登録免許税は15万円か資本金の額の7/1000(100円未満切捨)の大きいほうの金額となります。

収入印紙は消印をしないでください。

 

OCR用申請用紙または登記すべき事項を保存したCD-RかFD(フロッピーディスク)

登記すべき事項について、OCR用申請用紙かCD-R、FD(以下、「磁気ディスク」という)のいずれかで提出しなければなりません。
ただし、OCR用申請用紙による提出は、今後、廃止される予定ですので、ここでは磁気ディスクによる提出方法について説明します。

この場合、ダウンロードした「株式会社設立登記申請書」の「登記すべき事項を磁気ディスクに記録して提出する場合の入力例」のページは不要となります。

まずは、下記の法務省HPへアクセスし、必要なテキストファイルをダウンロードしてください(株式会社の設立であれば、「0001株式・設立.txt」をダウンロードします)。

ダウンロードしたテキストファイルの「」内の項目が必要な項目です。「メモ帳」機能等を使ってテキスト形式でそれぞれの項目の横に定款と同じ文言を記載していきます。定款と一言一句同じになるよう注意してください。

「取締役会設置会社に関する事項」、「監査役設置会社に関する事項」は該当しなければ削除します。

その他注意点は以下の通りです。

  • 文字コードは、シフトJIS、フォントはMS明朝かMSゴシックを使用する
  • 住所や氏名にはスペースを入れない
  • 数字、記号を含め全て全角で記入する
  • 数字はアラビア数字で記入する。
  • 単位として使用できるのは「万」と「億」のみ(「十」「百」「千」などは使えません)。カンマ「,」も使用不可

    数字の記入例

    ○ 1億5000万円
    × 1億5000万円(半角は使用不可)
    × 1億5千万円(「千」は使用不可)
    × 1億5,000万円(カンマは使用不可)

全て入力できたら、ファイル名を「(任意の名称).txt)」としてテキストファイルで保存します。

保存したテキストファイルを磁気ディスクにコピーします。磁気ディスクにはフォルダを作成しないでください。
使用できる磁気ディスクは以下の通りです。

  • フロッピーディスク(2HD、44MB、MS-DOS形式)
  • CD-ROM(120mm、JIS X 0606形式)
  • CD-R(120mm、JIS X 0606形式)

保存した磁気ディスクには、会社名を書いたシールを貼り付けます。

なお、OCR用申請用紙による提出に代わる登記すべき事項の提出方法として、オンラインで提出する方法が新設されました。
このオンラインで提出する方法を利用すれば、①提出した際の登記すべき事項の情報を利用し、登記申請書を簡単に作成することができる②CD-RやFDを用意する必要がない③オンラインによって、受付番号、補正、手続終了等のお知らせを受けることができるなどのメリットがあります。 また、電子署名及び電子証明書の添付も不要とされています。

オンラインで提出する方法の具体的手順については法務省HPをご確認下さい。

 

定款

公証人の認証を受けたものを持っていきます。

 

発起人の同意書

設立に際して、以下の内容が定款に定められていない場合には、「発起人の同意書」が必要となります。

  • 発起人が割当てを受けるべき株式数及び払い込むべき金額
  • 株式発行事項又は発行可能株式総数
  • 資本金及び資本準備金の額

書式はダウンロードした「株式会社設立登記申請書」の「設立時発行株式に関する発起人の同意書」「資本金及び資本準備金を発起人全員の同意により定めた場合」のページを参考にしてください。

ビズバ!の「会社設立のキモ、定款の書き方逐条解説!雛型プレゼントも!」ではこれらの内容を定款で定めていますので、これを参考に定款を作成した場合には、「発起人の同意書」は不要です。

 

発起人決定書

「発起人決定書」は以下の2つの条件をともに満たす場合には必要ありません。

  • 定款で本店所在地を番地まで含めて記載している
  • 電子公告以外の公告方法を選択している

ビズバ!の「会社設立のキモ、定款の書き方逐条解説!雛型プレゼントも!」では、コスト削減のため、定款に記載する本店所在地は最小行政区画までとしていますし、公告方法も電子公告をお勧めしているため、これを参考に定款を作成した場合には「発起人決定書」を作成する必要があります。

書式は、ダウンロードした「株式会社設立登記申請書」の「設立時取締役,設立時監査役選任及び本店所在場所決議書」を以下のように改変します。

  1. 書類タイトルおよび本文中の設立時取締役,設立時監査役選任に関する部分を削除する(すでに定款に記載しているため)
  2. 電子公告を行うURLを決定した旨を追加し、当該URLを記載する

なお、設立時役員を定款に定めていない場合には、1.の決定も必要になりますので、削除せずにおきます。

 

就任承諾書

設立時代表取締役、設立時取締役、設立時監査役のそれぞれについて、就任した者一人につき一枚ずつ「就任承諾書」を作成します。
ダウンロードした「株式会社設立登記申請書」の「就任承諾書の例」のページを参考にしてください。

代表取締役、監査役についてはこれらの機関を設置した場合のみ必要です。
つまり、取締役会を設置しない株式会社のうち、全ての株式に譲渡制限が付されている会社では、代表取締役を設置しないことも認められていますので、この場合は設立時代表取締役の「就任承諾書」は不要です。

同様に、監査役の設置が義務付けられない会社で、任意にも監査役を設置していない場合には設立時監査役の「就任承諾書」は不要です。
さらに、設立時取締役が1人の場合には当然にその取締役が代表となりますので、改めて設立時代表取締役の「就任承諾書」を作成する必要はありません。

 

設立時取締役全員の印鑑証明書

設立時取締役全員の「印鑑証明書」が必要となります。

ただし、取締役会設置会社の場合は設立時代表取締役の「印鑑証明書」のみで良いとされています。この場合、設立時取締役,設立時監査役などの「印鑑証明書」を添付しない役員については、運転免許証のコピーなどの本人確認証明書を添付する必要があります。

 

払込を証する証明書

定款に記載されている資本金が、発起人から口座に振り込まれていることを証明するために「払込を証する証明書」を作成します。

具体的には「払込金受入証明書」に預金通帳のコピーを添付します。
「払込金受入証明書」はダウンロードした「株式会社設立登記申請書」の「払込みのあったことを証する書面の例」のページを参考に作成します。

添付する預金通帳のコピーをとるときには少しコツが必要です。
会社設立前ですので、会社名義の預金口座はないと思います。コピーする預金通帳は発起人の預金口座のものを使います。
定款の認証後、発起人それぞれが個人名でその口座に入金します。
全員が入金したら、入金が分かるページおよび口座名義人が分かるページ(通帳の表紙と裏表紙)をコピーします。コピーしたページの資本金の入金に関する部分にマーカーを引くなどして、入金⽇や金額、誰から入金されたのかが分かるようにします。

コピーがとれたら、「払込受入証明書」と合わせてとじ、当該書⾯に押印した印鑑で割印します。

 

印鑑届出書

「印鑑届出書」を提出することで、会社の実印登録を行うことができます。
用紙は法務局にありますが、法務省HPからもダウンロードできます。

記載例はこちらです。

「印鑑届出書」の提出の際には、印鑑提出者本人の印鑑証明書の添付が必要ですのでご注意下さい。

 

資本金の額の計上に関する証明書

このほか、金銭以外の出資がある場合には「資本金の額の計上に関する証明書」が必要となります。

 

以上の書類を不備なく揃え、法務局に提出します。窓口に登記申請の完了予定日が掲示されていると思いますので、この日付を確認しておきます。

この完了予定日までに補正の連絡がこなければ、無事、会社が設立されたということです(完了の連絡はきません)。なお、会社の設立日は、完了日ではなく登記申請書を提出した日となります。

 

会社設立後の手続き

会社が無事設立され、ほっとするのも束の間、設立後にも行わなければならない手続きがあります。
会社設立後の手続きについて見ていきましょう。

 

法務局での手続き

会社が設立できたら、「印鑑届出書」で届け出た印鑑の印鑑カードができていますので、再度法務局に行き「印鑑カード交付申請書」を提出し、印鑑カードを受け取ります。
印鑑カードは会社の印鑑証明を請求する際に必ず必要になるものです。

「印鑑カード交付申請書」の用紙は法務省のHPからダウンロードできます。

記載例はこちらです。

「印鑑カード交付申請書」には登記所への届出た会社の実印を押印する必要がありますので、忘れず持っていきましょう。

印鑑カードを受け取ったらそれを使って、会社の印鑑証明書を入手しておきましょう。また、会社の登記簿謄本(登記事項証明書)もついでに入手しておきます。
これらは会社名義で銀行口座を開設するときや税務署、税事務所、役場、年金事務所への届出などで必要になります。

 

税務署への手続き

法人設立届出書

会社を設立したら、設立の日以後2か月以内に「法人設立届出書」を納税地の所轄税務署に提出しなければなりません。

所轄の税務署は国税庁のHPから調べることができます。

「法人設立届出書」は国税庁HPからダウンロードできます。

「法人設立届出書」には以下の書類を添付します。

法人設立届出書への添付書類

  • 定款のコピー
  • 登記簿謄本(登記事項証明書)
  • 株主名簿
  • 設立趣意書※1
  • 設立時の貸借対照表※2
  • 被合併法人等の名称及び納税地を記載した書類(合併等により設立されたとき)

※1設立趣意書については作成されないことも多いため、なくてもかまいません。
※2設立時ですので、基本的には借方に現預金、貸方に資本金といったシンプルなものになります。

 

給与支払事務所等の開設届出書

さらに税務署宛には、設立後1ヶ月以内に「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する必要があります。
「給与支払事務所等の開設届出書」は国税庁HPよりダウンロードできます。

 

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

また、従業員などの給与から源泉徴収した所得税(及び復興特別所得税)は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに納税しなければなりません。例えば、6月25日に支払った給与の源泉所得税は7月10日までに納めなければならないということです。

設立間際の人手が足りない時期にはこのスケジュールは結構タイトですよね。そこで、給与の支給人員が常時9人以下であれば、源泉徴収した所得税(及び復興特別所得税)を、半年分まとめて納めることができる特例があります。
これを、「源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」といいます。この特例を受けるためには「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出する必要があります。

「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」は、以下の国税庁のHPからダウンロードできます。

この申請書は、給与だけではなく、退職金や税理士などの報酬にかかる源泉所得税にも適用されますので、忘れずに提出しておきましょう。

なお、源泉徴収の概要については国税庁からパンフレットが出ています。会社設立には直接関係ありませんが、源泉徴収は会社を設立すると必ず必要となる手続きですので、こちらも目を通しておくことをお勧めします。

 

消費税関係の届出書

前述の通り、設立時には、消費税の納税義務を判定する基準期間や特定期間がありませんので、自動的に免税事業者となり、消費税関係の届出書は不要です。

しかし、設立時の資本金の額が1,000万円以上の場合には、「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」を提出する必要があります(「法人設立届出書」に消費税の新設法人に該当する旨及び所定の記載事項を記載して提出した場合には、この届出書の提出は不要です)。

「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」は、以下の国税庁HPからダウンロードできます。

また、これも先ほど触れましたが、免税期間にあえて課税事業者を選択することにより、消費税を節税できる場合もあります(顧問税理士がすでにいるのなら相談してみましょう)。この場合には、「消費税課税事業者選択届出書」を提出します。

「消費税課税事業者選択届出書」は、以下の国税庁HPからダウンロードできます。

 

また、必要に応じて以下の申請書や届出書も提出します。

 

青色申告の承認申請書

青色申告をするためには、事前に「青色申告の承認申請書」を提出しなければなりません。

「青色申告の承認申請書」は、原則として青色申告をしようとする事業年度が開始する前に提出しなければなりませんが、設立初年度は以下の1.と2.のいずれか早い日の前日までに提出しなければなりません。

  1. 設立の日以後3月を経過した日
  2. 当該事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日まで

個人事業主の方などのための「所得税の青色申告承認申請書」の提出期限はその年の3月15日です。法人税の「青色申告の承認申請書」と異なりますので注意してください。

「青色申告の申請書」は、以下の国税庁のHPからダウンロードできます。

 

棚卸資産の評価方法の届出書

この届出書を提出しなかった場合は、棚卸資産は最終原価仕入法で評価することとなります。
最終原価仕入法とは、期末に最も近い仕入単価で、期末日に保有する全ての棚卸資産を評価する方法です。この方法は簡便ではありますが、期中に仕入単価が変動した場合には、期末棚卸資産が不適切な額となり、これが売上原価計算に影響を及ぼし期間損益計算を歪めます。

そのため、できるだけ自社の実態に即した棚卸資産の評価方法を選定するため「棚卸資産の評価方法の届出書」を提出すべきです。その際、棚卸資産の評価方法の選定は、事業の種類ごとに、かつ、資産の区分ごとに行うことになっています。

提出期限は、設立第1期の事業年度の確定申告書の提出期限までとなっています。

「棚卸資産の評価方法の届出書」は、以下の国税庁のHPからダウンロードできます。

 

減価償却資産の償却方法の届出書

減価償却資産の償却方法は、法人税法施行令により資産の種類ごとに法定の償却方法が定められており、法定償却方法以外の償却方法を選択するには、「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出しなければなりません。

届出書の提出期限は、設立第1期の事業年度の確定申告書の提出期限までです。

「減価償却資産の償却方法の届出書」は、以下の国税庁のHPからダウンロードできます。

 

有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書

有価証券は移動平均法によって一単位当たりの帳簿価額を算出しますが、総平均法により一単位当たりの帳簿価額を算出したい場合には、「有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書」を提出します。

届出書の提出期限は、有価証券を取得した日の属する事業年度の確定申告書の提出期限までですので、設立初年度に有価証券を取得する予定がなければ慌てて提出する必要はありません。

「有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書」は、以下の国税庁HPよりダウンロードできます。

 

都道府県税事務所への手続き

税務署への手続きのほかに、税事務所へも手続きを行う必要があります。
なお、ここでは東京都で会社を設立した場合を想定しています。

 

法人設立届出書(税事務所向け)

税事務所にも「法人設立届出書」を提出する必要があります。

東京都で会社を設立した場合、「法人設立届出書」は以下の東京都主税局HPからダウンロードできます。

この際に、以下の書類を添付します。

  • 定款
  • 登記事項証明書(登記簿謄本)

提出期限は地域により様々ですが、東京都では設立日以後15日以内に提出することとなっています。

 

市町村役場への手続き

法人設立届出書(市町村役場向け)

役所・役場にも「法人設立届出書」を提出する必要があります。

ちなみに、東京都23区内で法人を設立した場合は、各区役所への届出は不要とされています。ただし、東京都であっても23区外で法人を設立した場合は、各市町村に届出をする必要があります。

その場合の「法人設立届出書」は、東京都主税局HPからダウンロードできます。

法人設立届出書(東京都主税局HP)-3ページ目を参照

以下の書類を添付します。

  • 定款
  • 登記事項証明書(登記簿謄本)

 

年金事務所への手続き

全ての会社は設立したと同時に健康保険と厚生年金保険の適用事業所となります。
そのため、適用事業所となった事実発生から5日以内に「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」を所在地を管轄する年金事務所へ提出しなければなりません。

これはつまり、会社設立日から5日以内に提出しなければならないということですが、設立登記申請の完了日との関係から間に合わないことが大いにあり得ます。また、「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」には登記簿謄本を添付しなければなりませんので、この点からも間に合わない可能性があります。
しかし、仮に間に合わなかったとしても受理されないということはありませんので、登記簿謄本を取得後、すみやかに提出しましょう。

管轄の年金事務所は、日本年金機構のHPから調べることができます。

「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」は、日本年金機構のHPからダウンロードできます。

 

まとめ

以上で、会社設立のステップは終わりです。

定款の作成や設立登記は大変ですが、会社設立後にも必要な手続きがあると分かって、ちょっとげんなりしてしまったかもしれません。

しかし、一旦手続きを終えてしまうと、その後はこういった大量の書類を用意することも稀になりますので、是非一気に片付けて本業に専念して欲しいと思います!

最後に株式会社設立にかかる費用をまとめておきますので、参考にしてください。
皆様の会社の発展を心よりお祈り申し上げます。

会社設立にかかる費用

  1. 定款に添付する収入印紙代 4万円(電子定款の場合は不要)
  2. 定款認証手数料 5万円
  3. 謄本手数料 定款1ページにつき250円
  4. 設立登記に際して必要な登録免許税 15万円または出資金額×7/1000の大きい方
  5. 募集設立の場合には払込保管証明書の発行手数料 出資金額による
  6. その他、会社印・代表者印作成費用、印鑑登録証明書費用等

 

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