【平成29年度税制改正大綱】中小企業経営強化税制創設で、生産性向上設備投資促進税制廃止後も即時償却可能に!

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【平成29年度税制改正大綱】中小企業経営強化税制創設で、生産性向上設備投資促進税制廃止後も即時償却可能に!

ついに、平成29年度税制改正大綱が公表されましたね。

平成29年度税制改正大綱

  • 配偶者控除および配偶者特別控除の見直し(P17)
  • 国内に住所を有しない相続人等に対する相続税の納税義務の見直し(P42)
  • タワーマンションに係る固定資産税等の見直し(P42)
  • 取引相場のない株式の相続税等の財産評価の見直し(P60)
  • ビールやワインなどに係る酒税の見直し(P92)

など、皆様それぞれ注目されていることと思いますが、今回ビズバ!では『中小企業向け設備投資促進税制の拡充(P73)』に着目し、解説してみたいと思います。

ボーナス税制とも呼ばれた生産性向上設備投資促進税制の後継となる税制ですので、設備投資をお考えの方は必ずチェックしておいてください!

平成29年度税制改正大綱に盛り込まれた、生産性向上設備投資促進税制に変わる新制度『中小企業経営強化税制』

これまで(平成29年3月末まで)は、生産性向上設備投資促進税制に中小企業投資促進税制を上乗せして、取得時に取得価額の全額を費用化したり、取得価額の10%を税額控除できたりしたのでしたね。

これについては『生産性向上設備投資促進税制に関する緊急連載』としてビズバ!でも詳細にお伝えしてきました。

生産性向上設備投資促進税制に関する緊急連載

第1回 生産性向上設備投資促進税制と中小企業投資促進税制利用に向けラストスパートを!

第2回 生産性向上設備投資促進税制は先端設備と利益改善設備のどちらを選ぶ?

第3回 生産性向上設備投資促進税制は即時償却と税額控除のどちらを選ぶ?

第4回 生産性向上設備投資促進税制を受けるための手続とは?

読者の方々の中には、生産性向上設備投資促進税制(とその上乗せ措置)を利用して、数百万円~数千万円の節税に成功された方も多くいらっしゃると思います。

平成29年3月31日までに設備投資をしたいという方は、大急ぎで生産性向上設備投資促進税制の申請手続きに入らなければなりませんが、それ以降の設備投資は、今回の税制改正大綱の内容が該当することとなります。

 

今回の税制改正大綱により、

①生産性向上設備投資促進税制は平成29年3月末に予定通り廃止

②中小企業投資促進税制は対象資産から器具備品を除外した上で平成31年3月31日まで延長

③中小企業商業・サービス業・農林水産業活性化税制も平成31年3月31日まで延長

④中小企業経営強化税制を創設

となり、平成29年4月1日から平成31年3月31日までは、投資促進系の優遇税制として、②~④が並行して存在することになります。

 

それぞれの税制によって対象資産や優遇措置などが微妙に異なっていますので、下表にて整理しておきます。

税制名

期間

優遇措置

対象資産

①生産性向上設備投資促進税制

廃止

②中小企業投資促進税制

器具備品を除き、平成31年3月31日まで延長

特別償却(30%)or税額控除(7%)

機械装置、工具、ソフトウエア、車両運搬具

③中小企業活性化税制

平成31年3月31日まで延長

建物附属設備、器具備品

④中小企業経営強化税制

創設。平成31年3月31日まで。

即時償却or税額控除(7% or 10%)

建物附属設備、工具、器具備品、機械装置、ソフトウエア

つまり、②中小企業投資促進税制は、これまでのように上乗せの制度ではなく、独立した制度になったということです。

そして、これまでの上乗せ制度の代わりとして、④中小企業経営強化税制が創設され、平成31年3月31日まで即時償却(つまり、設備を購入してすぐに費用処理)できるようになったのです。

なお、税額控除は②~④の合計で、法人税額の20%までとなっています。

似たような名前が多いので、今後はこのように税制名の頭に数字を振っていきます。

 

中小企業経営強化税制の概要

では、今回創設される予定の、④中小企業経営強化税制について解説していきたいと思います。

④中小企業経営強化税制は、経営力向上計画の認定を受けた中小企業者等について、取得価格までの特別償却(すなわち即時償却)と取得価額の7%の税額控除(特定中小企業者等は取得価額の10%の税額控除)とを選択できるというものです。

これにより、①生産性向上設備投資促進税制に②中小企業投資促進税制を上乗せする、かつての制度と似た効果を得ることができるということです。

この度の税制改正大綱から明らかになっている範囲で④中小企業経営強化税制について整理してみたいと思います。

対象者

青色申告書を提出する中小企業者等※1で、経営力向上計画の認定を受けたもの

資産の取得期間

平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間

対象資産

生産等設備※2を構成する機械装置、工具、器具備品、建物付属設備、ソフトウェアで、特定経営力向上設備等※3に該当する、一定の規模以上※7のもので、指定事業※8の用に供したもの

優遇措置

取得価額までの特別償却(つまり即時償却)

 or

取得価額の7%の税額控除

(特定中小企業者等※1は10%)

税額控除の場合

税額控除限度額は法人税額の20%

控除限度超過額は1年間繰越可能

 

※1 中小企業者等および特定中小企業者等の範囲は、②中小企業投資促進税制および③中小企業活性化税制の対象法人のうち、「中小企業等経営強化法」の中小企業者等に該当するものをいいます。

目安としては、資本金が1億円以下であれば中小企業者等、3,000万円以下であれば特定中小企業者等と思ってもらえれば良いです。

 

※2 「生産等設備」とは、その法人の指定事業※8の用に直接供される減価償却資産で構成されているものをいいます。
したがって、事務用器具備品、本店、寄宿舎等に係る建物付属設備、福利厚生施設に係るもの等、生産に直接供されてない減価償却資産は含まれません。

 

※3 「特定経営力向上設備等」とは、経営力向上設備等※4のうち、経営力向上に著しく資する一定のもので、認定を受けた経営力向上計画に記載されたものをいいます。

 

※4 「経営力向上設備等」とは、中小企業等経営力強化法に規定する生産性向上設備※5および収益力強化設備※6をいいます。

 

※5 生産性向上設備とは、次のA.およびB.の要件を満たす機械装置、工具(測定工具および検査工具に限る)、器具備品、建物付属設備およびソフトウエア(設備の稼働状況等に係る情報収集機能および分析・指示機能を有するものに限る)をいいます。ただし、ソフトウエアおよび旧モデルがないものは、次のA.の要件を満たすものをいいます。

  1. 販売が開始されてから、機械装置:10年以内、工具:5年以内、器具備品:6年以内、建物付属設備:14年以内、ソフトウエア:5年以内のものであること。
  2. 旧モデル比で経営力の向上に資するものの指標が年平均1%以上向上するものであること。

 

※6 収益力強化設備とは、その投資計画における年平均の投資利益率が5%以上となることが見込まれるものであることにつき、経済産業大臣の確認を受けた投資計画に記載された機械装置、工具、器具備品、建物付属設備およびソフトウエアをいいます。

 

※7 「一定の規模以上のもの」とは、それぞれ次のものをいいます。

  • 機械装置 1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの
  • 工具および器具備品 それぞれ1台又は1基の取得価額が30万円以上のもの
  • 建物附属設備 一の取得価額が60万円以上のもの
  • ソフトウエア 一の取得価額が70万円以上のもの

 

※8 「指定事業」は、②中小企業投資促進税制および③中小企業活性化税制のそれぞれの対象事業に該当する全ての事業となります。

【2017.1.16追記】指定事業については、こちら↓で詳しく解説しています。

 

かなり、細かいですね…

 

特に対象資産は分かりにくいと思いますし、ここが④中小企業経営強化税制を適用できるかどうかの重要な点ですので、以下に図で示します。

経営強化税制対象資産

上図の青い部分が※4の「経営力向上設備等」(中小企業等経営強化法に規定する設備)で、生産性向上設備と収益力強化設備からなります。

※5の生産性向上設備は、廃止される①生産性向上設備投資促進税制のA類型に相当するもの、※6の収益力強化設備はB類型に相当するものと思われますが、明らかではありません。

収益力強化設備については、経済産業大臣の確認を受ける必要があるとのことですが、この具体的な手続についても明らかになっていません。

ちなみに、これまで①生産性向上設備投資促進税制のB類型では、投資計画を作成し、それを税理士・公認会計士に確認してもらい事前確認書の発行を受けた上で、経済産業局に持参、説明した上で、ようやく経済産業局から確認書を受領できるという手順でした。

 

そして上図の赤い枠が、※3の「特定経営力向上設備等」であり、これに該当したものが④中小企業経営強化税制優遇の対象となります。

特定経営力向上設備等となる要件の、「経営力向上に著しく資する一定のもの」の具体的な内容についても、現段階で明らかになっていませんので、今後内容が分かり次第お知らせしたいと思います。

 

まとめ

①生産性向上設備投資促進税制の終了が近づき、即時償却の道が断たれるかと思っていましたが、今回の税制改正大綱によって創設された④中小企業経営強化税制によって、即時償却の手段が継続されることとなりました。

また制度的には、対象資産についてちょっと複雑ですし、まだ明らかになっていない点はあるものの、上乗せ措置のような複雑な制度でなく、それぞれ独立した制度として整理されたので、とても分かりやすくなったと思います。

なお、今回の④中小企業経営強化税制では、経営力向上計画の認定が要件となっていますが、経営力向上計画書の作成は非常に簡易ですし、法人税や所得税の優遇だけでなく、固定資産税の優遇や補助金、融資においても有利になるものですので、必ず認定取得しておくようにしましょう。これまでビズバ!でも記事にしていますので、是非参考になさってください。

 

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