地方自治体に激震?!ついに「企業版」ふるさと納税開始か?

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企業版ふるさと納税

ついにはじまる?「企業版」ふるさと納税

昨夜こんなニュースが飛び込んできました。

「官房長官 ふるさと納税の「企業版」創設を検討」

(すでに、リンクが切れてしまっていますが…)記事によると、菅官房長官が秋田市で行った講演の中で、「ふるさと納税制度」の企業版の創設について検討を進めていることを明らかにしたそうです。
今年末に決める2016年度税制改正大綱に盛り込み、同年度からの実現をめざしている模様です。

ふるさと納税の理念である「地方創生」は内閣の重要課題でもありますので、企業版ふるさと納税の創設は想定内の流れだとは思いますが、今回は号外として、この企業版ふるさと納税について考えてみたいと思います。

なお、ふるさと納税についてはこの他にも様々な議論が持ち上がっていますが、それについての所感はこちらの「ふるさと納税無料体験イベント 第1回「みんなのふるさと納税」開催レポート!」で述べておりますので、そちらをご覧下さい。

本稿では新しく企業版のふるさと納税ができた場合、現在の制度とどのように異なるのかについて検討してみたいと思います。

「企業版」創設でふるさと納税はどう変わるか?

以前、「税制改正で益々お得に!ふるさと納税のメリットとデメリット」でも述べたとおり、ふるさと納税は寄附金控除という仕組みを流用して、個人を対象に2,000円の負担金だけで特産品がもらえるというものでした。

ふるさと納税の窓口自体は企業にも開かれており、企業か個人かを問わず、自治体へ寄附をすることで特産品を受け取ることができます(全ての自治体で企業からのふるさと納税を受付けているわけではないようですが)。

しかし現行の制度では、企業がふるさと納税をする際に大きな税の壁が立ちはだかるのです。

寄附金の前提として、企業が都道府県、市区町村などの地方公共団体へ寄附金をした場合には、その寄附金は全額損金、つまり税務上の費用となり税金を圧縮することができます。

しかしながら、法人税は企業の利益に税率を掛けて決定されるため、寄附金による節税効果は「寄附金×税率」分だけにとどまってしまいます(住民税についても基本的に同じです)。

仮に税率が30%とすると、企業が100万円寄附したとしても、それによって安くなる税金は30万円だけで、残り70万円は単純にキャッシュアウトするということです。

寄附金というのは基本的に事業と関連性の無い先にするものですので、70万円をキャッシュアウトした副次的効果も見込めないでしょう。
このような現在の状況ですと、企業が寄附に消極的になるのも無理ありません。

この点、個人向けのふるさと納税では、限度額までは寄附金から2,000円を控除した全額、税金が安くなるよう制度化されています。
したがって、キャッシュアウトは2,000円だけで様々な特産品をもらうことができるため、多くの方が参加する制度となりました。
これはすなわち、地方創生支援に多くの方が参加しているということでもあります。

そして、寄附をした際にもらった特産品の税務上の取扱いについても、企業がふるさと納税をする際の障壁となっています。
地方公共団体は法人とされていますので、ふるさと納税でもらう特産品は、法人からの贈与という扱いになっています。

個人向けのふるさと納税では、法人からの贈与である特産品は一時所得に該当するのですが、これは、その年に他の一時所得がない場合には、課税関係は生じません。
さらに、一時所得は下記の算式で分かるように50万円の特別控除がありますので、そもそも50万円を超える特産品を受け取らない限り課税されることはありません。

一時所得の金額=総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)

しかも、一時所得は課税される前に金額を1/2されますので、仮に課税関係が生じたとしても少額になるケースが大半だともいえます。

しかし、これが企業の場合には、ふるさと納税でもらう特産品はそれがまるまる受贈益として計上されることとなり、その分法人税の支払が増えてしまいます。

これらの点を踏まえて企業が現行制度のもとでふるさと納税をした場合について考えてみましょう。

例えば、A社の利益が1,000万円だったとします。この時、税率が30%だとすると、税金は300万円ですね。

ここで、A社がB県について、100万円をふるさと納税として寄附し、お返しとしてB県から50万円相当の特産品をもらったとします。
寄附金分の100万円は全額損金になるため利益は900万円(=1,000万円-100万円)に減少します。
しかし、A社は50万円相当の特産品をもらっていますので、これが受贈益になり、利益は最終的に950万円(=900万円+50万円)となります。

税金を計算してみると950万円×30%で285万円となり、寄附をしていないときより15万円節税できています。
しかし、それと引き換えに手元に残る現金は85万円減少することになってしまいます(=寄附額100万円-節税額15万円)。
これではわざわざ寄附をしようとする企業がでてこないのも不思議ではありませんね。

 

まとめ

冒頭のニュースは、このように、企業がふるさと納税をする際に障壁となっている点について、税制改正により取り除くことを示唆するものです。

ふるさと納税に企業が参加することで、現在の特産品合戦から、資金使途を重視したCSR活動の一環としての寄附が増えていくのではないでしょうか。
どのような制度設計がなされるのかはまだ明らかにされていませんが、税制改正が行われれば、企業はもちろんふるさと納税を受ける地方自治体にも対応が求められるでしょう。

ふるさと納税には、地域格差の是正、地元産業の活性化、納税意識の向上、自治体の積極的な地元支援など多くの可能性が秘められていますので、是非、企業版ふるさと納税を実現してもらいたいと思います。

 

現行制度のふるさと納税についてはこちらの記事もご覧ください

 

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