個人事業主が開業したらやることと知っておくことまとめ

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個人事業主 開業

そろそろ年末の足音が聞こえる時期となってきました。

皆さんの2015年はどんな一年だったでしょうか?また、来年はどんな一年にしたいですか?
年の変わりとともに、一念発起して独立しようとされている方もいるのではないでしょうか?

今回はそんな方に向け、個人事業主になったらやっておくべきことを詳しく説明いたします。

是非ご参考にして頂き、スムーズなスタートを切っていただきたいと思います!

 

まずは税務署に開業届を提出しよう

個人事業主として開業して、最初に提出する書類が開業届です。

開業届は正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、事業の開始等の事実があった日から1月以内に提出するものと定められていますが、出し忘れても特段罰則はありません。

提出先は納税地を管轄する税務署となります。個人事業主であれば、自宅を事務所とする場合が多いでしょうから、自宅の住所を管轄する税務署に開業届を郵送または持参します。

開業前はあまり税務署へ行く機会もなかったと思いますから、持参するのがおすすめです。

税務署は平日8時30分から17時まで開いています。

管轄の税務署は以下のリンク先から調べることができます。

なお、開業届は国税庁のHPからダウンロードできます。

個人事業の開業・廃業等届出書

個人事業の開業・廃業等届出書

ではさっそく開業届の記入の仕方についてポイントを解説します。

「納税地」「住所地」「氏名」「生年月日」を記入したら、「職業」という欄にこれから開業しようとする業種を記入します。

職業欄は内容が分かるように記載すれば問題ありませんが、個人事業税の課税対象である法定業種から選ぶのが一般的です。

個人事業税は法定業種の事業を行っている個人に課せられるため、逆を言えば法定業種でなければ個人事業税を払わなくてよいということでもあります。この点については後述します。

法定業種表-東京都主税局HPより

法定業種表-東京都主税局HPより

「屋号」の欄には、事業の名前、会社で言えば社名を記入します。

屋号については後述しますが、屋号を持たず個人名で事業をする場合には記入しなくても構いません。

 

「届出の区分」欄は、開業に○をします。

 

「所得の種類」は通常、事業所得になると思います。

念のためそれぞれの所得の定義を記載しておきます。

不動産所得とは、次の1.から3.までの所得をいいます。

  1. 土地や建物などの不動産の貸付け
  2. 地上権など不動産の上に存する権利の設定及び貸付け
  3. 船舶や航空機の貸付け

山林所得とは、山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得をいいます。

事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。

「開業・廃業に伴う届出書の提出の有無」の欄は、青色申告をする予定の場合は、「青色申告承認申請書」の「有」に○をつけます。この青色申告承認申請書や青色申告については後述します。

 

消費税に関する「課税事業者選択届出書」についても後述しますが、基本的に「無」で良いでしょう。

 

また、個人事業主であっても従業員を雇うことはできます。

届出日現在で従業員を雇っている方は、以下の項目にも記入する必要があります。

「給与等の支払の状況」では、まず従業員が専従者か使用人かに分けて、人数を記載します。

専従者とは、生計を一にしている配偶者その他の15歳以上の親族に対して従業員として給与を払っている場合を指します。個人事業主では、奥さんなどに事務をお願いし、給料を払うことがあると思います。この場合、奥様が専従者となります。

なお専従者への給与についても、事業主が青色申告をするか白色申告をするかによって、節税額が変わってきます。この点も後ほど説明いたします。

一方、使用人とは専従者でない従業員のことです。

 

「給与の定め方」の欄は給与の支払形態で日給や月給などと記載します。

 

「税額の有無」には、各人ごとに納税すべき税額があるかどうかを判断し、その区分の全員について納付すべき税額がない場合は「無」を、その他の場合は「有」を○で囲みます。通常は「有」になると思います。

 

「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無」は申請書を提出する場合には「有」に○をします。

通常、事業主は従業員に支払う給与から、所得税(および復興特別所得税)を源泉徴収し、翌月の10日までに納めなくてはなりません。
しかし、毎月、徴収額を計算し、納付書を作成し納税するのは結構手間がかかります。

そこで、源泉所得税の納期の特例があります。

この特例を受けていると、その年の1月から6月までに源泉徴収した所得税(および復興特別所得税)は7月10日までに、7月から12月までに源泉徴収した所得税(および復興特別所得税)は翌年の1月20日までに納付すれば良くなります(つまり、年2回まとめて行えば良いということになります)。

「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」は以下から入手できます。

 

開業届のその他の項目についてどうしてもわからない場合は、開業届を税務署に持参したときに、職員さんに聞いてみると親切に教えてくれると思いますので安心してください。

 

確定申告の方法を選ぼう

個人事業主として開業すると避けて通れないのが各種税金の申告・納付です。

特に大変なのが所得税の確定申告ではないでしょうか。所得税の確定申告に関連して、青色申告とか白色申告という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。

ここではそれらの違いを説明し、どちらを選択すればよいのかをアドバイスしたいと思います。

 

白色申告

まずは白色申告から。

白色申告の一番のメリットは帳簿付けが簡単ということです。

しかしながら、あくまで「簡単」ということであって、「帳簿をつけなくてよい」というわけではありません。税制改正により白色申告者であっても簡易帳簿の作成が義務付けられるようになりました。

ただし、仕訳をきって複式簿記で記帳する必要はありません。

ノートに日付、勘定科目、金額、取引先の名称などを時系列にメモしていくだけでも大丈夫です。記帳に当たっては、一つ一つの取引ごとではなく日々の合計金額をまとめて記載する方法も認められています。

国税庁から帳簿の様式例も公表されていますので、これをプリントアウトして使っても良いと思います。勘定科目もこの中から選べば良いでしょう。

作成した帳簿や、その証拠となる領収書などの書類は保存しておかなければなりません。

それぞれの保存期間は以下の通りです。

白色申告者の帳簿・書類の保存期間

 

また、税務署でも記帳の仕方がわからない白色申告の方むけに、「記帳説明会」を実施していますのでこちらに参加してみるのも良いでしょう。

なお、国税庁からは白色申告の手引きも出されていますので、これも参考にしてください。

 

白色申告のデメリット

白色申告について説明してきましたが、実は白色申告には税制上大きなデメリットがあります。

まず、青色申告では認められている特別控除(10万円or 65万円)がありません。

さらに、青色申告なら専従者の労務の対価として相当とされる給与が必要経費として認められますが、白色申告では専従者控除として、最大で配偶者は86万円、配偶者でなければ専従者一人につき50万円が控除できるにすぎません。

また、青色申告であれば、売掛金、貸付金などに対して貸倒引当金を立てることができますし、その年度の経費として処理することができる少額資産の判断基準が、白色申告では10万円未満ですが、青色申告では30万円未満のものまで認められます。

そして、開業したての方にとって最もインパクトがあるのが青色申告者だけに認められる「純損失の繰越し・繰戻し」です。

これは、仮に赤字となったとしても、その赤字を翌年以後3年間にわたって繰り越すことができるというものです。繰り越した赤字を、翌年以降の所得金額から控除することで、節税をすることができます。

開業当初は売上が少ないだけでなく、名刺やホームページの作成などイニシャルコストが発生し、赤字となる場合が多いものです。

青色申告であれば、その赤字を翌年以降3年間の黒字とぶつけることができますが、白色申告ではそのような特典はありません。

また、前年も青色申告をしている場合は、発生した損失額を前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできます。

白色申告では以上のようなメリットを享受することができませんので、あまりおすすめできません(簡易とはいえ記帳義務もありますし)。

あえて言えば、年の途中から事業を始めて、今年は収入・経費ともに少ない人であれば白色申告でも良いかなという程度で、基本的には青色申告をした方が良いでしょう。

 

青色申告

さて、それでは青色申告の説明に移ります。

実は青色申告をしたい方は、「私は青色申告したいです」と申請しなければいけません。申請しなかった場合には白色申告を選んだとみなされてしまいます。

申請は以下の「青色申告承認申請書」を所轄税務署に提出するだけです。

提出期限はその年の3月15日までとなっていますが、新規開業した場合は業務を開始した日から2ヶ月以内となっていますので注意しましょう。開業届を税務署に提出する際に、一緒に持っていくと良いと思います。

また、「青色申告承認申請書」を提出したとしても、白色申告を禁止されるわけではありませんので、忘れずに提出しておきましょう(つまり青色申告承認申請書を提出しておけば、実際に確定申告をする際にどちらか選べば良いということです)。

上述の通り青色申告には様々なメリットがありますが、その中の1つである特別控除に10万円or 65万円という2つのパターンがあったと思います。

実は、青色申告には特別控除が10万円のものと、65万円のものの2種類があるのです。

必要に応じ、前者を10万円控除青色申告、後者を65万円控除青色申告と呼ぶことにします。

控除額の多い65万円控除青色申告の方が、要件が厳しくなっています。

65万円控除青色申告を適用するには、以下の条件を満たさなければなりません。

  1. 事業所得に係る取引を正規の簿記の原則により記帳していること。
  2. の記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、法定申告期限内に提出すること。

1.にある「正規の簿記の原則」とは、一般的には複式簿記を指すとされています。また、現金主義ではなく発生主義で記帳しなければなりません。

現金主義による所得計算の特例の適用を受けている場合、65万円の青色申告特別控除の適用を受けることができませんが、最高10万円の青色申告特別控除の適用を受けることができます。現金主義による所得計算特例を選択しようとする方は、青色申告を始めようとする年の3月15日までに、税務署に「所得税の青色申告承認申請書(兼)現金主義の所得計算による旨の届出書」を提出する必要があります。

上記の1. 2.の要件を満たせない場合には10万円控除青色申告となってしまいます。

しかし、10万円控除青色申告とはいえ、青色申告に変わりはありませんので、その他の青色申告のメリットについては享受できます。

以下に白色申告と青色申告の比較表を掲載しておきますが、このように見比べるとなおさら白色申告を行う理由は無いように思われます。

白色申告と青色申告の比較表

なお、青色申告の場合の帳簿・書類の保存期間は以下の通りです。

青色申告者の帳簿・書類の保存期間

国税庁からは青色申告を奨励するパンフレットが出ています。白色申告との節税額シミュレーションなども記載されていますので、是非ご覧になってみてください。

また、確定申告における各種控除については以下の記事を参考にしてみてください。

 

屋号をつけよう

法人の会社名のように、個人事業主は屋号を定めることができます。

屋号は必ずしも必要というものではありませんが、例えば「○○デザイン事務所」など、屋号によって自分の事業内容を知らせることもできます。

資格をお持ちの方は、例えば「○○一級建築士事務所」など、資格名を屋号に含めることで信頼性をアップさせることもできます。

ただし個人事業主ですので、「会社」や「法人」など会社と誤認される語句を屋号に含めることはできません。一方、「事務所」や「オフィス」ならば使っても構いません。

ホームページを開設する予定がある場合には、その屋号でドメインが取得できるかどうかも調べておくと良いでしょう。

 

銀行口座をつくろう

個人の銀行口座とは別に、事業用の銀行口座もつくっておきましょう。

個人事業主はプライベートと事業の境界があいまいになりがちです。これは、税務調査で突っ込まれるだけでなく、事業の経営成績を把握するためにも望ましくありません。

また、銀行口座を屋号付口座(口座名が「屋号 + 個人名」となる口座)とすることもできます。開設は窓口のみでの受付けであったり、追加の提出資料も必要だったりとちょっと手間がかかりますが、プライベート用の口座と事業用の口座を明確に分ける意味でも屋号付口座はオススメです。

屋号付口座開設についての対応は各銀行で異なりますので、一度相談に行ってみることをお勧めします。

 

事業用のクレジットカードも作っておこう

銀行の屋号付口座と同様、プライベートと事業の区別を明確にするためにも、事業用のクレジットカードを作ることをお勧めします。

事業で使うものについては事業用のクレジットカードで支払い、代金は事業用の銀行口座から引き落とされるようにしておきましょう。

そうしておけば、後述のクラウド会計ソフトと連動させることで、会計処理がグッと楽になります。

また、クレジットカードで支払えば代金の引き落としが1~2ヶ月後となりますので、資金繰り的にも望ましいと言えます。

 

レシート・領収書を集めておこう

節税のためには青色申告を選択することも重要ですが、何より日々の必要経費をコツコツ集計し、課税所得を圧縮することが大切です。

そのため、レシートや領収書をきちんと保管しておきましょう。

経費で落とすためには必ずしも領収書が必要というわけではありません。場合によってはレシートのほうが内訳が記載されていて望ましいこともあります。

経費で落とすためには、領収書やレシートが以下の要件を満たしていなければなりません。

  1. 商品やサービスを販売した事業者が交付するものであること
  2. 書類の作成者の氏名または名称が記載されていること
  3. 商品やサービスを販売した年月日が記載されていること
  4. 販売した商品やサービスの内容が記載されていること
  5. 商品やサービスの対価の額が記載されていること
  6. 書類の交付を受ける事業者(つまり自分)の氏名又は名称が記載されていること

注意すべきは1. 4. 6.です。

まずは1.について。クレジットカードで支払った際にレジで受け取るカード利用控えについては、交付はカード会社名義でされますので、厳格に判断すれば要件を満たしませんが、例外的に領収書やレシートの代用になるとされています。

注意しなければならないのは、毎月カード会社から送られてくる請求明細書などは領収書やレシートの代用とならないということです。これらの請求明細書は1.の要件を満たさないことに加え、多くの場合、4.の課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容が記載されていないためです。

4.については、レシートですと問題ないと思いますが、領収書の場合は但し書が必要になります。

また、6.では氏名または名称が要件となっていますので、「上様」では要件を満たしません。しかし、小売業、飲食店業、写真業、旅行業、一般常用旅客自動車運送事業、駐車場業、その他不特定多数の者に商品やサービスを販売する事業への支払であれば6.の記載は不要です。したがって、ほとんどの経費に6.は不要ということになるでしょう。

 

集めたレシート・領収書を保管しておこう

前述の通り、レシートや領収書には保存義務があるのでしたね。

しかし一度帳簿付けしてしまった後で、レシートや領収書を見返すことは、税務調査でも入らない限りないのではと思います。
ですので、レシートや領収書の保管に労力をかける必要はありません。

おすすめの方法は、封筒に月別に入れておく方法です。
レシートや領収書の数が多い場合には、週別や日別にホチキスでまとめても良いでしょう。

コピー用紙の裏紙などにのりで貼り付けてバインダーに綴じておく方法もおすすめです。

 

家事関連費をプライベート部分と事業用部分に按分しよう

銀行口座やクレジットカードを分けたとしても、同一の支払について、プライベート部分と事業部分が混在しているものもあると思います。これを家事関連費といいます。

例えば自宅を賃借していて、そのうち一室を事務所としても使っている場合、どのように経費処理すれば良いのでしょうか?

毎月大家さんに支払っている家賃には、事務所部分が含まれていますよね。しかし、当たり前ですが、家賃の支払自体はプライベート部分と事業用部分を区別せず、一括で大家さんに支払っています。

家賃の全てが事業用の支払ではありませんので、全てを必要経費とするわけにはいきませんが、一室を事務所として使用していますので、家賃の一部を必要経費とすることはできます。

どのくらいの割合を必要経費とできるかといえば、それは実態に応じて割合を算定することになります。

例えば、自宅の室数のうち事務所として使っている室数の割合でもよいですし、事務所で使用している部屋の平米数から算出しても良いでしょう。要は、実態として何割が事業用部分に当たるのかということです。

このように、ある支出について、プライベート部分と事業用部分を区分して、事業用部分のみを必要経費に算入する方法を家事按分と言います。

自宅兼事務所家賃を事業用口座から100,000円支払い、そのうち2割が事業用だと判断したのであれば、仕訳は以下のようになります。

(借)地代家賃 20,000

(借)事業主貸 80,000

(貸)預金 100,000

事業主貸とは事業主に対する債権(資産)で、翌期首に元入金と相殺されます。詳しくは勘定ペディアの事業主貸をご覧下さい。

事業用口座から払った家賃のうち20,000円は事業用ですので地代家賃という経費になりますが、残りの80,000円はプライベート部分を立て替えているという形になります。

もし、家賃をプライベート用の口座から支払った場合には以下のように仕訳します。

(借)地代家賃 20,000

(貸)事業主借 20,000

事業主借は事業主貸とは逆に、事業主に対する債務(負債)です。事業主借は翌期首に元入金に組み入れます。こちらも勘定ペディアの事業主借をご覧いただければと思います。

家事按分が必要となる可能性があるのは以下のようなものです。カッコの中に按分の際の指標を記載しています。

  • 自宅兼事務所の地代家賃、火災保険料(部屋数、平米数、使用時間など)
  • 車両の減価償却費、ガソリン代、車検代、駐車場代、保険料、固定資産税(走行距離など)
  • 交際費(事業に関連するもののみ)
  • 水道光熱費、通信費(使用量、使用時間など)
  • 備品の減価償却費(使用頻度など)

 

クラウド会計ソフトを利用してバックオフィス業務を省力化しよう

個人事業主になると、確定申告のためにも、正確な事業成績の把握のためにも帳簿付けが必要です。

しかし、帳簿付けはあくまでバックオフィス業務です。個人事業主はお一人の方が多いでしょうから、できるだけ省力化し、本業に集中できる環境づくりをすることが大切です。

現在では、freee、MFクラウド会計、やよいの青色申告オンラインといった様々なクラウド会計ソフトが誕生しています。

クラウド会計ソフトは銀行口座やクレジットカードの取引データを自動で取り込み、仕訳を計上してくれますし、税制改正などにも素早く対応します。

さらに、家事按分も按分割合を登録しておけば自動でやってくれますし、費用も比較的安価です。したがって個人事業主が使う会計ソフトとしては、クラウド型の会計ソフトがおすすめです。

各社、機能やインターフェイスが微妙に異なりますので、ご自身にあったものを選ぶと良いと思います。

それぞれの機能紹介へのリンクを貼っておきます。

 

その他の税金にも注意しよう

その他、個人事業主の方に関係する税金としては以下のようなものがあります。

  • 源泉所得税
  • 住民税
  • 消費税
  • 個人事業税

以下、一つずつ説明していきます。

 

源泉所得税

開業届のところで触れましたが、従業員を雇った場合には源泉所得税を徴収しなければなりません。

また、原稿料や税理士事務所へ払う報酬からも源泉所得税を徴収しなければなりません。

源泉徴収を行わなければならない人を源泉徴収義務者と呼びます。

ただし個人事業主の場合、次のいずれかに当てはまる人は、源泉徴収義務者ではありません。

  • 常時2人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与や退職金を支払っている人
  • 給与や退職金の支払がなく、税理士報酬などの報酬・料金だけを支払っている人

つまり、一人で事業をやっている個人事業主であれば、たとえ税理士報酬などを払ったとしても源泉徴収する必要はないということです。

源泉徴収義務者に該当した場合に、どのような時に源泉徴収しなければならないかは、以下の記事をご覧下さい。

また、事業を行っていると自分が源泉徴収される側となる場合があります。例えば原稿を書いて報酬をもらった場合などです。

この場合には、さっきと逆に考えれば良いということです。

つまり、相手が源泉徴収義務者であれば源泉徴収された後の金額が手取りの報酬額になるでしょうし、そうでなければ(相手が1人で個人事業を営んでいる場合)、源泉徴収されていてはおかしいということです。

 

住民税

住民税とは一般的に、「都道府県民税」と「市区町村民税」との2つを総称した呼び名です。

住民税は、1月1日に住所がある自治体(都道府県や市区町村)に収める税金で、前年の1月1日から12月31日までの1年間の所得に対して課税される「所得割」と、所得金額にかかわらず定額で課税される「均等割」があります。

計算方法や納付方法については、以下の記事を参考にしてください。

 

消費税

消費税は最も身近な税金の一つかもしれません。しかしその仕組みは意外と知られていないのではないでしょうか?

消費税はその名の通り「消費者」が負担する税金ですが、納付は事業者がすることとなっています。

皆さんが消費者としてコンビニなどで買い物をするとき、消費税を払っていると思いますが、あれは消費税を納付しているわけではなく、コンビニなどの事業者に皆さんが負担すべき消費税を預けているわけです。

一方、コンビニも仕入をするときに仕入先に消費税を払っています。コンビニが負担すべき消費税を仕入先に預けているのです。

コンビニは消費者から預った消費税から、仕入先に預けた消費税を差し引いて、その残額を納付します。これが消費税の仕組みです。詳しくは以下の記事をご覧下さい。

個人事業主として開業すると、皆さんは消費者としての立場だけでなく、事業者としての立場も担うこととなります。
つまり、売上にかかる消費税を得意先から預り、仕入にかかった消費税を差し引き、残額を納付しなければなりません。

しかし、実は全ての事業者が消費税の納税義務者となるわけではありません。
基本的に消費税は基準期間の(課税)売上高が1,000万円を超えたときに納税義務が生じます。

基準期間とは、個人事業主の場合はその年の前々年を指します。

つまり、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の場合には、納税義務は無いということになります。

何が言いたいかというと、新たに事業を始めた場合には、その時点では基準期間の売上げというものはありませんので、原則として、納税義務は生じないということになります。

ただし少しだけ注意が必要です。それが「特定期間」と呼ばれるものです。

特定期間とは、個人事業主の場合はその年の前年の1月1日から6月30日までの期間を指しますが、この期間に(課税)売上が1,000万円を超えた場合には課税事業者となります。

すなわち、基準期間は存在しなくても特定期間が存在し、特定期間における判定基準により課税事業者となる場合がありますので注意してください。

なお、免税事業者であっても消費税課税事業者選択届出書を提出することにより課税事業者になることを選択することができますし、特定期間における1,000万円の判定を、(課税)売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。

前述の通り、消費税の納税義務者は、預った消費税から支払った消費税を差し引いて納付しますので、預った消費税より支払った消費税の方が多ければ、還付を受けることができます。

開業直後は売上より仕入の方が多くなりがちですので、還付される場合が多いと思われますが、還付を受けることができるのは課税事業者だけなのです。したがって、このような場合にはあえて課税事業者を選択するというのも一つの方法です。

ただし、消費税課税事業者選択届出書は開業初年度はその年度中(それ以後は、適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで)に提出しなければなりません。

消費税課税事業者選択届出書は以下からダウンロードできます。

課税事業者かどうかの判定フローチャートは以下をご覧下さい。

課税事業者判定フローチャート

出典:国税庁「消費税法改正のお知らせ」より

 

個人事業税

個人事業税は法定業種の事業を行っている個人事業主が8月と11月に納めなければならない地方税です。
確定申告をしていれば、都道府県税事務所から納税通知書が送られてきますので、それに基づき納付を行うことになります。

前述の通り、個人事業税は法定業種の事業を行っている個人に課せられるため、逆を言えば法定業種でなければ個人事業税を払わなくてよいということでもあります。

法定業種とそれに対応する税率は以下をご覧下さい。

法定業種表-東京都主税局HPより

法定業種表-東京都主税局HPより

 

なお、個人事業税は290万円の事業主控除がありますので、所得金額がそれ以下の場合には納税義務がなく、納税通知書は送られてきません。

その他にも、個人の事業税の事業専従者給与控除、繰越控除があります。これらにより納税義務がなくなる場合もあります。

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

個人事業主になったときに必要となる手続きについてまとめてみました。

「青色申告承認申請書」など期限までに提出しなければ、受けられない特典も多数あります。この記事を参考に、スムーズに事業を開始してください!

 

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