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交際費

悩ましい交際費処理

経営者の皆様とって、頭を悩ませるのが交際費の取扱いだと思います。

特に中小企業では、友人、知人との取引があることも多く、彼らとの会合等を仕事上のものと捉えるか、プライベートなものと捉えるか、線引きが難しいと感じていらっしゃるかもしれません。

少し経験のある方なら「交際費は経費にならない」などという話を聞いたことがあると思います。 これは正確ではないですが、完全に間違いともいえません。その辺りの話は本稿の後半でお話いたしますが、いずれにせよ税務上、交際費を多額に計上するのは得策とはいえません。

本稿では、大企業はもちろん中小企業や個人事業主の方にも役立つよう、交際費の取り扱いについて詳細に解説いたします。

 

そもそも交際費とは

まずはそもそも交際費とは何なのか、その定義を確認しましょう。

法人税法上、交際費とは

交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出する費用

とされています。
(さらっと、「法人税法上」と言ったことに注意してください。この交際費の定義は法人を対象とする法人税での規定ですので、個人事業主の方は下の「個人事業主の交際費」まで進んでください。)

まず、「その他事業に関係ある者等」とあるので、取引関係のある者だけでなく、間接的にその会社の利害に関係のある者や、その会社の役員、使用人、株主等に対するものも含みます。

また、「交際費、接待費、機密費その他の費用で」とあることから、会社がどのような名称で処理しているかを問わず、その実態を見て法人税法上の交際費かどうかが判断されるということです。

そしてこの「実態を見て」というのが曲者なんですね。というのも、事業を行っていると交際費といえなくもない取引が頻繁に発生するからです。
こういった交際費と似た取引について、そのたびに「実態を見て」判断していたのでは、納税者は混乱してしまいますし、効率的ではありません。

そこで、法人税法は上の定義のように一旦大きく交際費を捉え、実態で判断するとしたうえで、交際費と似て非なる費用についても列挙しています。
これにより、列挙された取引に該当するものは交際費以外の費用だと納税者が容易に判断できるようにしています。

次からはこの交際費とは似て非なる費用を明らかにすることで、交際費を浮き彫りにしていきたいと思います。

 

交際費と似て非なる費用 part.1 福利厚生費

専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
福利厚生費として処理します。

従業員のために行われるものですから、交際費ではなく福利厚生費というわけですね。

また、「通常要する費用」とありますので、あまりに豪華なものは福利厚生とは言えないとされています。これについては、具体的な数字があるわけではなく、常識で判断するべきものです。

同様に次のようなものも、社内の行事に際して支出されると言えますので、交際費ではなく福利厚生費となります。

  1. 創立記念日、国民の祝日、新社屋の落成式などに際し、従業員におおむね一律に、社内において供与される通常の飲食に要する費用
  2. 従業員等(従業員等であった者を含みます。)又はその親族等のお祝いやご不幸などに際して、一定の基準に従って支給される金品に要する費用(例えば、結婚祝、出産祝、香典、病気見舞いなどがこれに当たります。)

これら二つとも「一律に」や「一定の基準に従って」などの文言が入っていることに注意してください。
福利厚生というからには分け隔てなく享受できるものでなければならないということです。

そして、先ほど言ったとおり、上記のような費用は従業員のために行うからこそ福利厚生費となります。
したがって、例えば創立記念式典に得意先を招待した場合にかかった費用は、まさに「得意先への接待等」という交際費の定義に合致し、交際費として処理されることとなります。

またこのような場合に、得意先からご祝儀をもらうこともあるかと思います。
例えば、創立記念式典にかかった費用が1,000万円、得意先からのご祝儀が100万円だとすると、実質的な負担額は900万円ですので、交際費として計上する額も900万円で良いと思われるかもしれません。

しかしながら、これらはそれぞれ別の支出とみなされ、交際費としては創立記念式典にかかった費用全額の1,000万円を計上し、さらにご祝儀は雑収入として100万円計上しなければならないとされています。 後ほど説明いたしますが、交際費はその全てが損金算入(税務上の費用として処理し、その分利益を圧縮すること)できるとは限りませんので、この場合、交際費と雑収入の両方に税金がかかることになってしまいます。

福利厚生費の説明が長くなってしまいましたが、福利厚生費の他にも交際費と似て非なる費用があります。

次は交際費と広告宣伝費の違いを見ていきましょう。

 

交際費と似て非なる費用 part.2 広告宣伝費

カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他のこれらに類する物品を贈与するために通常要する費用
広告宣伝費として処理する。

例えば年末が近づくと、得意先や仕入先などに自社のロゴの入ったカレンダーなどを配賦する企業は多いと思います。
カレンダーのような少額な広告宣伝用物品を贈与するための費用は、主として広告宣伝的効果を意図して支出されるものであるため交際費ではなく広告宣伝費となります。

しかしながら、一般論として広告宣伝費と交際費とは非常に似通っていいます。どちらも事業を軌道に乗せるための費用と言えるからです。
支出した費用が交際費でなく広告宣伝費だとするためには、商品・サービスや会社そのものを、「広く一般に」売り込むための費用でなければなりません。

広く一般にとは、不特定多数の者を対象としていなければならないということです。つまり、不特定多数の者を対象としての費用であれば、それがたとえ接待のための費用であっても、交際費ではなく広告宣伝費として取り扱われるということでもあります。

具体的には、以下のような費用は広告宣伝費となります。

  1. 製造業者や卸売業者が、抽選により、一般消費者に対し金品を交付するための費用又は一般消費者を旅行、観劇などに招待するための費用
  2. 製造業者や卸売業者が、金品引換券付販売に伴って一般消費者に金品を交付するための費用
  3. 製造業者や販売業者が、一定の商品を購入する一般消費者を旅行、観劇などに招待することをあらかじめ広告宣伝し、その商品を購入した一般消費者を招待するための費用
  4. 小売業者が商品を購入した一般消費者に対し景品を交付するための費用
  5. 一般の工場見学者などに製品の試飲、試食をさせるための費用
  6. 製造業者や卸売業者が、一般消費者に対して自己の製品や取扱商品に関してのモニターやアンケートを依頼した場合に、その謝礼として金品を交付するための費用
  7. 得意先などに対して見本品や試用品を提供するために通常要する費用

 7.以外は「一般の」人を対象としていることが要件となっていることに注意してください。つまり、特定の者だけを対象としているのであれば、広告宣伝とは言えないということです。

したがって、次のような場合は、一般の人を対象としていることにはあたらないので注意してください。

  1. 医薬品の製造業者や販売業者が医師や病院を対象とする場合
  2. 化粧品の製造業者や販売業者が美容業者や理容業者を対象とする場合
  3. 建築材料の製造業者や販売業者が、大工、左官などの建築業者を対象とする場合
  4. 飼料、肥料などの農業用資材の製造業者や販売業者が農家を対象とする場合
  5. 機械又は工具の製造業者や販売業者が鉄工業者を対象とする場合

これらは特定の者を対象としているため広告宣伝とは言えないということです。
広告宣伝費と交際費の違いはこの点に留意して判断してください。

さて、またまた説明が長くなってしまいました…

交際費と似て非なる費用、次は寄附金です(これも長くなってしまいそう…)。

 

交際費と似て非なる費用 part.3 寄附金

寄附金とは、金銭、物品その他経済的利益の贈与又は無償の供与のことをいいます。

実務上は、寄附金も交際費との区別が難しいと思います。 また、寄附金は広告宣伝費や福利厚生との区別も問題になってくると思います。どれも事業の業績を直接伸ばすものではなく、間接的に事業に貢献する支出であるといえますよね。

寄附金と判断されるポイントは、「事業に直接関係のない者」に対するものか否かと言う点です。
寄附とは本来、見返りを求めない行為ですので、事業と関係のない人に対してなされるものだということですね。

例えば、次のような事業に直接関係のない者に対する金銭贈与は、原則として寄附金になりますよ。

  1. 社会事業団体、政治団体に対する拠金
  2. 神社の祭礼等の寄贈金

 一方で、得意先や仕入先は事業上の取引先ですので「事業に直接関係のない者」とはいえません。 したがって彼らのような事業に関係のある者に対して物品を贈与した場合、それが見本品や試用品でないなら、交際費になってしまいます(見本品や試用品なら広告宣伝費でしたね)。

しかし、いくら税法といえど、血も涙もないわけではありません。 例えば、災害によって通常の営業をできなくなってしまった取引先に対して災害見舞金払った場合は、通常の営業活動を再開するための復旧過程において支出した災害見舞金は、交際費から除かれます。

通常ならば、得意先、仕入先等社外の者に慶弔禍福に際して支出した金品等の費用は、接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものとされ、交際費等として取り扱われます。
しかし取引先に対するものであっても、被災前の取引関係の維持・回復を目的として、災害を受けた取引先が通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間内に行った、災害見舞金や事業用資産の供与、役務の提供のために要した費用については、交際費から除かれるというわけです。

 以上が寄附金と交際費との違いです。

はい。長かったですね。すみません。

次は会議費との違いです。次こそはちゃちゃっと終わらせましょう(自信なくなってきました…)。

 

交際費と似て非なる費用 part.4 会議費

会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
会議費として処理する。

交際費の定義で、「交際費等とは、・・・事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する費用」とありますので、基本的には得意先等に飲食物を出せば交際費となります。

しかし、商談や打ち合わせになどの会議の場で出したお茶やお菓子、弁当まで交際費とするのはあまりにも実態に即していないため、これらは交際費ではなく会議費として処理します。

会議に関連する飲食物の供与が会議費とできる要件は以下の通りです。

  • 会議に際してなされたものであること
  • 社内または通常会議を行う場所においてなされたものであること
  • 通常供与される昼食の程度を超えないものであること

「会議に際してなされたものであること」とありますので、会議後の酒宴などの費用は、打上げ、反省会、意見交換会などの名称に関わらず会議費とはできません。
もちろん、社内の者だけの会議であっても「会議に際してなされたもの」であれば会議費です。

また、「社内または通常会議を行う場所」という開催場所についての要件もありますが、通常会議を行う場所は企業の規模や成長ステージなどにも依りますので、会議としての実態があれば、会議室でなくともカフェやホテルのロビーでも問題ないと思います。
また、アルコールが入れば即、交際費というわけでもありませんので居酒屋などで開催しても問題ないと思います。
ただその場合は少なからず会議の実態を疑われると思いますので、会議としての実態を立証するために出席簿や議事録を整備しておく必要があるでしょう。 場合によっては会議ができないほどには飲んでいないということを証明できるよう、注文した内容が分かるレシートなどをとっておく必要があるかもしれません。

また、旅行等に取引先を招待し併せて会議を行った場合には、旅行、観劇等に招待した費用は交際費となりますが、併せて行った会議の費用は会議としての実態があれば会議費となります(会議としての実態がなければこれも交際費とされます)。

最後の条件として「通常供与される昼食の程度を超えないものであること」とありますが、この「通常」とは、福利厚生費のところでも言ったように、常識で判断してくださいということです。 具体的な金額で○○円以下なら会議費というわけではなく、出席者や会議の内容や開催場所によって、適切な金額があるはずでしょうというわけです。

 これで会議費と交際費の違いは終わりです。

交際費と似て非なる費用にはこの他にも様々なものがあります。さすがに皆さんお疲れでしょうから、次はまとめて表で紹介します。

 

交際費と似て非なる費用 part.5 その他の費用

さて、これまで説明した福利厚生費、広告宣伝費、寄附金、会議費の他にも、交際費と紛らわしい費用として、売上割戻、販売促進費、販売奨励金、情報提供料、案内費などがあります。

これらについては下の表で交際費に該当するかどうかを確認してください。

その他の交際費

これまでの説明や上の表は、あくまで一般的なものを記載したのみで(その割にはマニアックですが…)、もちろんこれ以外にも、事業をしていれば交際費との区別に迷う費用が出てくると思います。

その場合にも、例えば、出版物などの編集するために行われる座談会や取材に、通常要する費用は交際費ではなく取材費として処理するなど、実態をよく考えて交際費か否かを区別してください。

これでひとまず、交際費と似て非なる費用の説明は終わりです。
なんとなく、交際費とそうでない費用の違いがわかってきたでしょうか?

それにしてもなぜ、法人税はこのように交際費とその他の費用とを細かく分類しているのでしょうか?

勘定ペディア」のおまけでも書いたように、基本的に税務上は費用をどんな勘定科目で処理するのかについて寛容なはずでした。
しかし、こと交際費となると、これまで見てきたように大変細かく交際費と似て非なる勘定との区別を規定しています。これは一体なぜなんでしょう。

結論から言いますと、交際費は会計上は全て費用となりますが、税務上は交際費の全てが損金となるわけではないためです。
税務上の費用は会計上の費用と区別するため「損金」と呼ばれますが、損金となるかどうかによって、納付する税額が変わってきます。

すなわち、法人税は税務上の収益(これを益金といいます)から損金を控除したあとの税務上の利益(これは所得といいます)に税率を掛けて徴収されますので、交際費を実際には支払っているにも関わらず損金として認められなければ、所得が増え、その分法人税を多く払わなければならなくなってしまうというわけです。

図で表すと以下のような関係になります。

会計上と税務上の違い

 
これを税務署側から見ると、損金となるか否かは徴収税額の増減に直結するということですので、口うるさくなるというわけです。

しかし、交際費の全てが損金にならないというわけではありません。税務署もいくらかの交際費は事業をスムーズに遂行するために必要ということは認めていますので、損金とできる交際費に限度額を設けているのです。

これが、本稿の冒頭に「交際費は経費にならない」という言い方が正確ではないと言った理由です。

 

飲食費とは

交際費であっても限度額以内であれば損金算入できるとわかれば、早速限度額を知りたいと思うかもしれませんが、そのためには「飲食費」について知らなければなりません(予め言っておきますと、このあと「接待飲食費」と言うものも出てきます。どちらの話をしているか注意して読み進めてください。ここでは「接待飲食費」ではなく「飲食費」の話です)。

というのもこの「飲食費」、行為としてはまさに交際費なんですが、政策的に交際費とはしないと規定されているためです。交際費に該当しないということは、交際費の限度額に関係なく損金算入できるということです。

では、その「飲食費」とはどのようなものなのでしょう。法人税法では以下のように定められています。

飲食その他これに類する行為(以下「飲食等」といいます。)のために要する費用(専らその法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)であって、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下である費用

皆さんの中にはちゃんと上の定義を読んで「専らその法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。」というカッコ書きに気づいた方もいらっしゃるかもしれません。

専らその法人の役員、従業員、親族への接待ですから、これは「社内飲食費」と呼ばれています。
そして、社内飲食費は交際費から除かれる「飲食費」ではないと規定されているわけです。

しかし、だからと言って全ての社内飲食費が交際費になるとは限りません。これまでの説明を読んでいただけた方なら、「社内だから福利厚生費として処理できるのでは?」とか「会議費として処理できるのでは?」などと思われるのではないでしょうか。

まさにその通りで、要件にあえば福利厚生費や会議費として処理することも可能です。
例えば、福利厚生費だと「一律に」っていうのがポイントでしたね。また、会議費なら「会議の実態」がポイントでした(長々した説明でしたので、忘れてしまった方は戻って確認してみてください)。
もし福利厚生費や会議費に該当するなら、全額損金算入できますのでこれを検討しない手はありません。

また、このカッコ書きには「専らその法人の」とありますので、親会社や同業者、得意先などが出席していれば、「飲食費」に該当し、税制緩和の恩恵を受けることができます。
こういうと、取引先などの社外の人間が一人でも参加すれば良いのかと思う方もいらっしゃると思います。

結論から言うと、まさにその通りで、社外の方が一人でも参加すれば社内飲食費とはなりませんので、一人当たり5,000円以下であれば「飲食費」に該当します。
ただし、社外の方一人に対し、自社の従業員等が相当数参加する必要があったことを証明する必要があると思います。単に得意先等の従業員を形式的に参加させているだけでは、社内飲食費と判断されるでしょう。

その他、「飲食費」に該当する具体例を見ていきましょう。

飲食費に該当する費用

  1. 自己の従業員等が得意先等を接待して飲食するための「飲食代」
  2. 食等のために支払うテーブルチャージ料やサービス料等
  3. 食等のために支払う会場費
  4. 意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差入れを行うための「弁当代」(得意先等において差入れ後相応の時間内に飲食されるようなもの)
  5. 食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要する「お土産代」

 一方、飲食費に該当しない費用は以下のようなものです。

飲食費に該当しない費用

  1. ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用※1
  2. 接待等を行う飲食店等へ得意先を送迎するために支出する送迎費※2
  3. 飲食物の詰め合わせを贈答するために要する費用※3

 ※1この場合は、ゴルフや観劇等の催事がメインであり飲食等はおまけなので、飲食費として切り出さず、通常の交際費に含めるということです。
しかし、この場合であっても飲食等が催事とは別に単独で行われていると認められる場合には、飲食費とすることが可能です。
※2送迎費は接待に付随するものであり、飲食費そのものではないということです。
※3これはいわゆる中元・歳暮と変わりませんので、通常の交際費です。

さて、この「飲食費」ですが、定義に「参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下である費用」とあるため、一人当たり5,000円以下のものに限られていますので、この点もご注意下さい。

一人当たりの金額は単純に飲食等に参加した人数で割って判定します。消費税については、会社が税込経理をしていれば、消費税込みで、税抜経理をしていれば消費税抜きで5,000円以下かどうかの判断をします。

 さらに、「飲食費」として交際費から除くためには以下の項目を記載した書類の保存が義務付けられています。

  1. その飲食等のあった年月日
  2. その飲食等に参加した得意先、仕入先、その他事業に関係のある者等の氏名または名称及びその関係
  3. その飲食等に参加した者の数
  4. その費用の金額並びにその飲食店、料理店等の名称及びその所在地

日付や金額、飲食店名などは領収書やレシートに記載されているので問題ないと思いますが、2.については注意が必要です。

参加者名については、社外の方についてのみでよいのですが、原則として『○○会社・○○部、○○○○(氏名)、卸売先』のように一人ずつ記載しなければなりません。
但し、場合によっては部署や下の名前などは聞きづらいこともあるかと思いますので、その場合には記載を省略することもできます。
もし、多数の方が参加し全員の氏名等を把握できない場合には『○○会社・○○部、○○○○(氏名)部長10、卸売先』というような記載でも構いません。

さて、以上のような要件が満たされれば、「飲食費」として交際費から除かれます。

図で示すと以下のようになります。

交際費①

もう一度言いますが、交際費から除かれた「飲食費」は全額を損金算入することができます。

 

接待飲食費とは

さて「飲食費」の説明が終わりましたので、ようやく交際費の限度額計算の話に移れます。と言いたいところなのですが、平成26年度の税制改正により「接待飲食費」についての説明も必要となりました。

そのため、ここではこの「接待飲食費」について説明いたします。「接待飲食費」をきちんと理解すれば、交際費の限度額を増加させることができるかもしれませんので、もう少々お付き合い下さい。

実はこの「接待飲食費」は先ほどの「飲食費」と似ています。「飲食費」が一人当たり5,000円以下でなければならないのに対し、「接待飲食費」には金額の上限がないという点が異なるだけです。

その他の、社内飲食費でないことや、書類の保存が必要(正確には「接待飲食費」の場合は「帳簿書類」の保存なのですが、気にしなくて大丈夫です)などの要件は「飲食費」の場合と同じです。
むしろ「接待飲食費」には一人当たりの金額上限がないため、参加人数の記載は不要です。

このように「飲食費」とよく似ている「接待飲食費」ですが、その取り扱いは「飲食費」とは異なります。
すなわち、「飲食費」が交際費から政策的に除かれ、全額損金不算入になるのに対し、「接待飲食費」はあくまで交際費のままであるということです。

図で示すと以下のようになります。

交際費②

ではなぜ、交際費に含まれる「接待飲食費」をわざわざ把握するのかというと、実はこの「接待飲食費」を交際費の限度額計算で使用するからなのです。

「接待飲食費」を把握することで、限度額計算の前準備が整ったことになります。
では次からは交際費の限度額計算を(ようやく)ご説明いたします。

 

交際費の損金算入限度額

交際費限度額計算

先ほど言ったように、法人税は交際費の全てを損金とできないと規定しているのではなく、損金にできる交際費の額に上限を設けて、その上限を超えた額については損金にできないとしています。
ここではその損金に算入できる限度額の計算方法についてご説明しますよ。

なお、法人税法上、交際費の限度額は大企業と中小企業とで変わってきますので、まずはご自身の会社が大企業に該当するのか、中小企業に該当するのかを以下でご確認下さい。

大企業・・・中小企業以外の企業

中小企業・・・期末の資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人

ちなみにこの交際費の損金算入限度額ですが、平成26年度の税制改正により、損金とできる額が緩和され、節税効果が増えました。本稿では、この税制改正後(平成26年4月1日以後に開始する事業年度)の限度額について説明いたします。
是非この機会に限度額計算をマスターして、税制緩和を有効活用してください!

 

大企業の交際費の損金算入限度額計算

平成26年度の税制改正での目玉がこの大企業の交際費の損金算入限度額の拡大です。
それまで大企業の交際費については全額が損金不算入とされていましたが、損金不算入金額が以下のように緩和されました。

交際費等のうち、「接待飲食費」の50%に相当する金額を超える部分の金額

先ほどご説明した「接待飲食費」はここで出てくるのです。

上記は損金不算入金額(つまり税務上の費用とできない金額)の説明ですので、限度額としては「接待飲食費の50%以下」と言うことになります。
図で示すと以下のようになります。

交際費③

 

中小企業の交際費の損金算入限度額計算

一方で、資本金が一億円以下の中小企業の限度額は次のいずれかの金額となります。

  • 交際費等のうち、接待飲食費の50%
  • 800万円(定額控除限度額)

中小企業の場合は上記の二つの限度額のうち、有利な方(納める税金が少なくてすむ方)を選択すればよいことになります。

そして、その限度額を超える部分が損金不算入となります。

交際費④

 

つまり、交際費の額が800万円以下であれば、全額損金経理できるため定額控除限度額を選択したほうが良いですが、交際費の額が800万円を超え、かつ飲食費が多額となる場合には、定額控除限度額とどちらが有利になるか試算する必要があります。

いくつかのパターンにわけ試算してみると以下のようになります。

交際費計算例

 

個人事業主の交際費

一方で個人事業主の払う所得税には交際費について上限額がありません。つまり、会計上の費用と税務上の損金が一致しているのです。

ですので、個人事業主であればあまりデリケートになる必要はありません。といっても他の費用に比べ交際費だけが突出して大きければ、税務調査等で追求される可能性が高くなります。

税務調査で何が問われるかといえば、その交際費が必要経費か否かと言うことです。

所得税法で必要経費の定義を確認してみましょう。

必要経費 所得税法 第37条

その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額とする。

「所得を生ずべき業務について生じた費用」とありますので、その費用が所得、すなわち税務上の利益に貢献しているかどうかが必要経費とできるかどうかの判断基準になるということです。

したがって、法人では認められていた「見込客との飲食」などは、飲食の相手がまだ「見込」客であるため、所得を生じておらず、よって必要経費でない、すなわち交際費ではないということです。

なぜこのように個人事業主の必要経費が法人のそれよりも範囲が狭められているのかというと、法人は営業活動をするのが基本であるのに対し、個人事業主にはプライベートな支出もあり、全てを必要経費とはできないためです。

交際費を必要経費として計上する際には、その交際費によって所得が生じていること(例えば、通常よりも安く仕入れることができていることなど)を立証できるようにしておきましょう。 

 

渡切交際費

ここまでで交際費についての説明は終わりなのですが、交際費と良く似たものとして渡切(わたしぎり)交際費と言うものがあります。

これは「交際費」と名前が付いていますが、実態は、役員や社員に「交際費として使ってくれ」と金銭を渡しておいて、その後、精算をしないものです。
最近ではこのような会社はあまりないのかもしれませんが、渡切交際費は精算をしないため、実際に交際費として使用されたかどうかは分かりません。
そのため、法人税法上はその実態を捉えて、給与もしくは賞与として取り扱われることになります。

渡切交際費は法人税法上の交際費ではないため、ここでは深く説明しませんが、場合によっては使途不明金と判断される場合もあります。
使途不明金と判断された場合、その全額が損金不算入となり、さらに特別課税として支出額の40%の追徴されてしまいます。なるべくなら渡切交際費のようなものは存在させない方が良いでしょう。

 

まとめ

以上で交際費についての説明は終わりです。

前述の通り、交際費については平成26年度の税制改正により大幅な緩和が行われました。
皆さんも是非、事業上の関係を円滑に保つため、緩和された交際費税制を有効に活用してください!

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