マイホーム建て替え予定なら不動産を使った相続税対策もお忘れなく!

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マイホーム建て替え予定なら相続税対策もお忘れなく!

タワーマンションを使った節税策に一定の歯止めがかけられるのではと話題になっています。

2015年から相続税が増税され、不動産を使った相続税対策はさらに重要になってきていますが、金額が大きいだけに、まっとうなやり方をしないとダメージも大きくなります。

本稿では、不動産を使った相続税対策について解説していきたいと思います。これからマイホームを建て替えるという方も必見ですよ!

相続税の計算方法

相続対策のためには、そもそも相続税額がどのように計算されるのかを知らなければなりませんね。

ただ、相続税の計算方法は、法定相続分と実際の相続割合との間で調整があったりと、少々複雑ですので、ここではイメージをつかんでもらえれば結構です。

相続税額は以下の算式により計算されます。

相続税額 =(相続財産の額 — 基礎控除額)× 相続税率

算式を見て分かるように、相続税額を下げるには①相続財産の額を下げる ②基礎控除額を上げる ③相続税率を下げる、という3つの方法があります。

①の相続財産の額を下げるというのが本稿の本題です。これについては後ほど詳しく説明したいと思います。

 

②の基礎控除額を上げる方法については、基礎控除額とはどのようなものかを説明する必要があるでしょう。

基礎控除額というのは次の算式で求められます。

基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

算式中の法定相続人とは、亡くなった方(被相続人)の配偶者とそのお子さんのことです。

これらの人がいない場合、被相続人のお孫さんや両親、ご兄弟が法定相続人となる可能性があります。

例えば、被相続人に、配偶者と子供が2人いる家族では、法定相続人は3人(配偶者と子供2人)ですので、基礎控除額は以下のように求められます。

3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円

この4,800万円が基礎控除額となり、相続財産から控除されることとなります(つまり、4,800万円を超える財産が相続された場合に、相続税が課されることとなります)。

基礎控除額を上げるためには、法定相続人を増やす、つまり新たに子供を増やすしかありませんので、この方法で相続税額を下げるのは難しいといえます。

 

③の相続税率を下げる方法については、相続税率は相続財産の額に応じた超過累進税率となっていますので、結局は①の相続財産の額を下げる方法が有効ということになります。

 

不動産だと相続財産の額が下がるワケ

それでは本題である、①相続財産の額を下げる方法を見ていきましょう。

もし、おじいちゃんが財産を現金や有価証券で持っていた場合、それらは相続税の計算上、時価で評価されます。

つまり1億円の現金なら、相続財産の額も1億円と評価されるというわけです。これは当然ですね。

しかし財産が1億円の不動産だった場合には話は変わってきます。

実は不動産は相続税の計算上、土地なら公示価格の80%程度、建物なら建築費用の60~70%程度で評価されるのです。

話を簡単にするため、パーセンテージについては目安となる数値を示しています。

また、建物の評価は、市町村の税務課(東京23区は都税事務所)にある固定資産課税台帳に記載されている固定資産税評価額となります。この固定資産税評価額がだいたい建築費用の60~70%くらいというわけです。

つまり現金1億円を保有している場合、例えば、住宅用の資金として現金で相続するより、相続前にマイホームを建替えるなどして、一旦不動産に変えてから相続したほうが相続税が安くなるというわけです。

誤解してはならないのは、相続税法上、評価額が下がったからといって、マイホームの本来の価値が下がるわけではありません。現金であれ不動産であれ1億円の財産に違いはありません。ただ、不動産であれば「相続税法上は」評価額が低くなり、相続税額が少なくなるということです。

 

不動産を使った相続税対策の王道!小規模宅地等の特例

これまでの説明で、現金のまま相続するよりも、不動産で相続したほうが節税になることがお分かりいただけたと思います。

そして土地で相続する場合には、さらなる節税ができる可能性があります。それが「小規模宅地等の特例」です。

小規模宅地等の特例を使えば、80%もしくは50%評価額を減額することがでます。

小規模宅地等の特例を利用するには、以下の1.~3.の要件を全て満たす必要があります。

  1. 相続の開始の直前において被相続人等の事業の用に供されていた宅地等または被相続人等の居住の用に供されていた宅地等であること
  2. 相続開始前3年以内に贈与により取得した宅地等や相続時精算課税に係る贈与により取得した宅地等でないこと
  3. 宅地等の利用区分に応じた取得者要件を満たすこと

まずは1.について解説いたします。

被相続人というのは、亡くなった方のことを指します。

また、相続は死亡によって開始しますので、1.の要件を満たすには、亡くなる直前に被相続人が事業に使っているか、そこに住んでいる必要があるというわけです。

小規模宅地等の特例「相続の開始の日が平成27年1月1日以後の場合」-国税庁HPより

小規模宅地等の特例「相続の開始の日が平成27年1月1日以後の場合」-国税庁HPより

上の表を見てください。仮に、被相続人が住んでいた宅地が相続されるとしましょう。

この場合、上表では一番下の行の「被相続人等の居住の用に供されていた宅地等」に該当し、減額割合は80%です。つまり、元の評価額の20%になるということです。

しかし、「小規模」宅地等の特例ですので、減額できる面積に限度があります。

表を見ると「被相続人等の居住の用に供されていた宅地等」に該当する場合には330㎡までとなっていますね。

330㎡というのは約100坪です。これはだいたい25mプールくらいの大きさです。被相続人が住んでいた土地のうち、330㎡までは小規模宅地等の特例によって、評価額が20%になるということです。

また、上表の要件をみると「特定居住用宅地等」に該当しなければならないとあります。

「特定居住用宅地等」に該当するかどうかは、その宅地等を相続した人(取得者)が要件を満たすかどうかによって決まるので、これが3.の「宅地等の利用区分に応じた取得者要件を満たすこと」という要件と同義です。

「特定居住用宅地等」の取得者要件は以下の通りです。

「特定事業用宅地等」「特定同族会社事業用宅地等」「貸付事業用宅地等」についてもそれぞれ取得者要件がありますが、本稿では省略します。

特定居住用宅地等の要件-国税庁HPより

特定居住用宅地等の要件-国税庁HPより

例えば、「被相続人の居住の用に供されていた宅地等」を「被相続人と同居していた親族」が相続によって取得した場合、その親族が「相続開始の時から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有して」いれば、その宅地は「特定居住用宅地等」に該当し、小規模宅地等の特例を受けることができるということです。

分かりやすく言えば、親が住んでいた土地を、一緒に住んでいた子供が相続して、これからもずっとその土地で暮らす場合には、相続した土地の評価が20%になるということです。

2015年からは、玄関が別々にあるような独立型の二世帯住宅でも小規模宅地等の特例が認められるようになりましたので、かなり使いやすい制度になったと言えます。

 

相続時精算課税ってなんだ?

先ほどの小規模宅地等の特例の要件を見ると「相続時精算課税」という言葉がありますね。

この相続時精算課税とは何なのでしょうか?

相続とは、被相続人が亡くなったことによって、被相続人から相続人である子供などへ財産が渡されることで、その際に課されるのが相続税ということです。

であれば、相続より前に子供に財産を贈与しておけば相続税がかからないではないかと思うかもしれません。

もしそうであれば、誰にも相続税などかからないはずですが、現実にはそうはなっていません。なぜなら、贈与した場合には贈与税というものがかかるからです。

通常は相続税よりも贈与税の方が税率が高いため、無理に贈与せず、相続によって相続税を払うことが多いのです。

相続時精算課税においても、贈与の際に一旦贈与税を納めます。しかし、相続時精算課税を選択した場合の贈与税額は通常の贈与と違い、2,500万円を超える部分の20%となります。

つまり2,500万円までは非課税で贈与を行うことができるということです。

そしてその後の相続の際に、贈与財産と相続財産を合わせて相続税を計算し、そこから一旦納めた贈与税を差引くことで相続税額が決まります。

なお、計算された相続税額より既に納めている贈与税額の方が大きい場合には還付を受けることになります。

相続税額を算定する際、相続財産に合算される贈与財産は、贈与時の価額で計算されますので、相続時までに贈与財産の価額が上がっていた場合には、贈与時の低い財産価額が計算基礎となるため、「結果として」節税になります。

ただ、これでは「結果として」節税になるだけです。相続時までに贈与財産の価額が下がっているのであれば、「結果として」税金を多く払わなければなりません。

それでは、相続時精算課税は贈与財産の価額が上がるか下がるか、ギャンブルのようなものなのでしょうか?

いえいえ、相続時精算課税の本当のメリットは他にあるのです。

 

相続時精算課税の本当のメリットとは

相続時精算課税の本当のメリットは、収益物件を贈与した時に発揮されます。

例えば、被相続人になるであろう方が賃貸アパートを持っているとしましょう。このままだと、賃貸アパートで得た所得は、その方の財産となり、相続の際に相続財産として相続税が課せられてしまいます。

そこで、この賃貸アパートを相続人である子供に贈与すれば、賃貸アパートから得られる所得は子供のものとなり、被相続人の相続財産は増えません。つまり、相続税の対象とはならないというわけです。

このように、相続時精算課税を利用することで2,500万円の非課税枠を使いながら、収益物件から得られる所得の帰属先を相続人に変更することで、相続をスキップし相続税を減らすことができます。

 

なお、相続時精算課税は贈与者毎に利用するかどうかを選択できますが、相続時精算課税を選択した贈与者からの贈与については、その後暦年贈与を利用することはできませんので注意が必要です。

暦年贈与については、「端午の節句のお祝いを非課税でする方法を本気で考えてみた」をご覧ください。

また、相続時生産課税は原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の推定相続人である子又は孫に対し、財産を贈与した場合のみ利用可能ですので、この点も注意が必要です。

 

まだある!不動産を使った相続税対策(貸家建付地の評価減)

その他に、不動産を使った相続税対策として、貸家建付地の評価減を活用する方法もあります。

貸家建付地とは、所有する土地に建築した家屋を他に貸し付けている場合の土地のことをいいます。

貸家建付地の評価は以下の式で算定されます。

貸家建付地の価額
=自用地とした場合の価額 - 自用地とした場合の価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合

つまり、自分で使った場合より、借地権割合、借家権割合、賃貸割合の分だけ評価額が下がることになります。

例えば、被相続人になるであろう方が、自分の住んでいる宅地の他に土地を持っていたとします。

その土地が更地の場合には、先ほどの小規模宅地等の特例を使うことができません。

そこで、その土地の上にアパートなどを建て、賃貸することで、貸家建付地に該当し、借地権割合、借家権割合、賃貸割合によって20%ほどは評価額を下げることができます。

さらに、この土地が先ほどの小規模宅地等の特例の「貸付事業用の宅地等」に該当すれば、そこから更に50%の評価減もあります(「貸家建付地の評価減」と「小規模宅地等の特例」は併用可能。ただし限度面積あり)。

冒頭で述べたように、建物については建築費用の60%程度が評価額となりますが、賃貸している場合には、更に借家権分の30%が減額されます。

また、建設費用を借入れによって賄った場合には、その借入金は相続の際には財産評価から控除することができます。

気になるのは、賃貸物件からの所得によって相続財産が増えてしまうことですが、この場合も、不動産管理会社を設立し、その会社に家賃の一部を移転させることで、相続財産が増えることを防げます。

さらに、相続人をその会社の役員にすることによって、賃貸物件からの所得を報酬として分散することもできます。

ただし、法人の場合は小規模宅地等の特例を利用することはできなくなります。

もちろん、賃貸アパートを建てても収益が上がらないというのであれば、意味がありませんので、やみくもに空いてる土地にアパートを建てれば良いというものではありませんが。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

不動産を使った相続税の節税方法について、「小規模宅地等の特例」「相続時精算課税」「貸家建付地の評価減」の3つを紹介しました。

ちょっとややこしかったと思いますが、ポイントは以下の2つです。

  • 金融資産を不動産に変えることで評価を下げる。
  • 不動産を多く持っている場合には、賃貸用にすることで評価額を下げる。

また、相続税は基本的に現金で納税しますので、納税資金の確保や不動産を分筆し相続しやすくしておくことも大切です。

相続の際に慌てないように、日頃から準備しておきましょう!

 

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