生産性向上設備投資促進税制を受けるための手続とは?【緊急連載第4回目】

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生産性向上設備投資促進税制を受けるための手続とは?

全4回でお送りしている生産性向上設備投資促進税制の解説ですが、今回は第4回目、つまり、ようやく最終回となります。

第1回目~第3回目については、以下のリンクからご覧下さい。

これまで、生産性向上設備投資促進税制のメリットや、中小企業投資促進税制を上乗せしたときの判断基準などについて解説してきましたが、今回は、実際に生産性向上設備投資促進税制を利用する場合に必要な手続きを解説したいと思います。

生産性向上設備投資促進税制には「先端設備」(A類型)を対象としたものと、「利益改善設備」(B類型)を対象としたものがあるということは、連載第1回目「生産性向上設備投資促進税制と中小企業投資促進税制利用に向けラストスパートを!」にて説明いたしました。

そして、「先端設備」(A類型)について必要な手続きは、「業者からリストを取り寄せ、資産を購入後「工業会等の証明書」を発行依頼する」だけということも第1回目で説明したとおりです。

そこで今回は「利益改善設備」(B類型)に絞って、必要な手続きを解説したいと思います。

 

生産性向上設備投資促進税制を利用する際のスケジュール

まずは、生産性向上設備投資促進税制を「利益改善設備」(B類型)に対して適用する場合の大まかなスケジュールを抑えておきましょう。

まずはこちらの手続きスキーム図をご覧下さい。

「利益改善設備」(B類型)のスキーム図

「利益改善設備」(B類型)のスキーム図-経済産業省「ご利用の手引き」より

この図を時系列で並べると以下のようになります。

イ 税理士・公認会計士に生産性向上設備投資促進税制を使った節税スキームの依頼をする

ロ 管轄の経済産業局アポイントを取る⇒1か月前くらい、できるだけ早め

① 投資計画案を作成し、税理士・公認会計士に確認を依頼する

② 税理士・公認会計士に事前確認書を発行してもらう

③ 投資計画等の必要書類を経済産業局に持参・説明し、確認書発行申請を行う

④ 経済産業局から確認書を受領する

ハ 資産を取得し、即時償却・特別償却が可能となる

⑤ 確定申告をする

先ほどの手続きスキーム図に記載されていない、イ、ロ については、経済産業局からの確認書をなるべく早く受領するための方策です。というのも、特に生産性向上設備投資促進税制において即時償却を行うためには2016年3月31日までに資産を取得しなければならないためです。

また、ハ の資産の取得については、必ず経済産業局による確認の後に行わなければならないことに注意しましょう。

 

手続きは大きく、イ~②の投資計画を作成し、税理士・会計士に事前確認書を発行してもらうまでの「事前準備段階」と、③~⑤の経済産業局へ確認書を申請し、確認書を受領するまでの「申請・承認段階」の2つに分けることができます。この2つの段階を経て、設備の取得、即時償却、そして確定申告へと進みます。

それぞれの手続きについてどれくらい時間がかかるのかは下図をご覧下さい。

生産性向上設備投資促進税制スケジュール

上図をご覧いただけると分かるように、事前準備段階に要する時間が投資規模や税理士・会計士の腕で大きく変動することがお分かりいただけると思います。

また、申請・承認段階も年度末が近づき駆け込み需要が予想されます。そうすると経済産業局でも作業に遅滞が生じる可能性もあります。

生産性向上設備投資促進税制を使って即時償却できるは2016年3月31日までですので、逆算して予定を立てるとともに、効率的に作業を行える経験豊富な税理士・会計士に依頼する必要があります。

 

各ステップの説明

それでは各ステップにつき、一つずつ説明していきます。

 

イ 税理士・公認会計士に生産性向上設備投資促進税制を使った節税スキームの依頼をする

生産性向上設備投資促進税制を「利益改善設備」(B類型)に適用する場合には、必ず税理士か公認会計士の事前確認を受けなければなりません。

そのため、まずは生産性向上設備投資促進税制を使った節税スキームの受入をしている税理士・公認会計士を探し、依頼する必要があります。

税理士・公認会計士にも得意不得意がありますので、なるべく経験豊富な税理士・公認会計士に依頼するようにしましょう。

 

ロ 管轄の経済産業局アポイントを取る

依頼する税理士・公認会計士が決まったら、ここからは彼らと二人三脚で、経済産業局からの確認書受領に向け邁進することになります。

投資計画についてのヒアリングの後、税理士・公認会計士は概算で要作業日数を算出します。そして実際に投資計画を作成する前の段階で、税理士・公認会計士から経済産業局へ面談のアポイントを取ってくれると思います。

繰り返しになりますが、生産性向上設備投資促進税制の即時償却は2016年3月31日が期限であり、時間との勝負ですので、こういった段取りが非常に重要になります。万が一、税理士・公認会計士がアポイントを取っていないようでしたら、あなたから経済産業局との面談日がいつになるか、確認してみてもよいでしょう。

 

① 投資計画案を作成し、税理士・公認会計士に確認を依頼する

表題では、あなたが投資計画案を作成し、税理士・公認会計士が確認するようなっていますが、実際には、税理士・公認会計士と協力しながら投資計画案を作成することとなります。

投資計画の作成や、経済産業局への確認申請の際の添付資料として、取得予定の設備の見積書が必要となりますので、取り寄せておきましょう。

投資計画は以下の算式による投資利益率が15%(中小企業者等の場合5%)以上となることが見込まれていなければなりません。

投資利益率=「営業利益+減価償却費」の増加額 ÷ 設備投資額

具体的な計算方法は連載第2回目「生産性向上設備投資促進税制は先端設備と利益改善設備のどちらを選ぶ?」をご覧いただきたいのですが、注意点としては、分母となる「設備投資額」には、生産性向上設備投資促進税制の対象とならない設備も含むという点です。

生産性向上設備投資促進税制では取得価額要件が設けられていますが、これに満たない低額の設備や中古設備も分母には含まれるということです。

生産性向上設備投資促進税制の対象となる設備要件についても、第2回目「生産性向上設備投資促進税制は先端設備と利益改善設備のどちらを選ぶ?」をご覧下さい。

一定の投資利益率が見積もられなければならないということから、新規の設備取得や増築であれば要件を満たしやすく、設備の取替えでは少し難易度が上がります。

なお、投資利益率を形式的に達成するためだけに、投資計画の作成単位、つまり分子や分母に何を含めるかを操作したとしても、経済産業局の確認証を受領することはできないでしょう。

投資計画の作成単位は、設備の導入の目的から見て、必要不可欠な設備の導入に係るものを含める必要があり、その設備から投資利益率を算定する際に、追加的に生じる効果を正確に算出するために必要最小限の単位としなければなりません。

したがって、投資の効果を会社単位でしか算出することができないのであれば、必要最小限の単位は、設備投資をした生産ライン単位ではなく、会社単位ということになります。

 

② 税理士・公認会計士に事前確認書を発行してもらう

経済産業局への申請には、税理士・公認会計士の事前確認書が必要ですので、速やかに発行してもらいましょう。

申請者であるあなた自身が用意しなければならない、必要資料や書類については、その都度税理士・公認会計士から指示があると思います。

 

③ 投資計画等の必要書類を経済産業局に持参・説明し、確認書発行申請を行う

ロ でアポイントを取った日時に、申請者は以下の書類を最寄りの経済産業局へ持参し、説明を行います。

  1. 定款(または登記簿謄本の写し)
  2. 事業報告書の写し
  3. 過去3年分の貸借対照表損益計算書(販管費の明細、製造原価報告書等を含む)
  4. 申請者が中小企業者等※1に該当する場合は、その根拠となる資料 例えば、直近の確定決算に係る税務申告における明細書(別表一別表二)等の写し。
  5. 対象となる新規設備投資につき、既存設備の現況と設備投資後の状況を確認できる資料(新規投資による設備配置がわかるような、設備投資前図面設備投資後図面
  6. 本申請書の根拠となる資料。 代表者(またはそれに代わる者)の押印がなされた社内で決裁された当該申請書に係る設備投資計画またはそれに代わるもの※2。 導入する設備の見積書 設備導入により同様の商品やサービスを生産する場合の過去の同様の商品・サービスの過去の実績(1単位当たり売上、製造・販売原価等) 売上高・営業利益が増加する場合の根拠となる資料 売上原価・販管費が減少する場合の根拠となる資料  
  7. 公認会計士又は税理士による事前確認書
  8. 様式1 設備投資計画申請書
  9. 様式1 別紙(基準への適合状況確認)
  10. 返信封筒
  11. チェックシート(関東経済産業局の場合)※3

 

※1中小企業者等とは、以下のいずれかに該当する場合を指します(直近の確定決算時点で判断します)。

  1. 常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人
  2. 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人※ ※ただし、同一の大規模法人(資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える法人又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。)に発行済株式又は出資の総数又は総額の2分の1以上を所有されている法人及び2以上の大規模法人に発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上を所有されている法人を除きます。
  3. 資本又は出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
  4. 農業協同組合等

 

※2根拠資料となる投資計画又はそれに代わるものについて

原則として、投資目的、投資内容、投資金額、投資効果(売上見込、損益計算等)、回収期間等が記載された、社内で適正な手続に則り決定された資料をいいます(稟議書、決裁書面、取締役会議事録、金融機関等提出資料等)。

 

※3近畿経済産業局ではチェックシートに代えて、エントリーシートが必要。

 

経済産業局へ行くのは必ずしも代表者でなくて構いませんが、投資計画等について説明できる人が行く必要があります。

説明した結果、経済産業局から修正点を指摘された場合には、その点をフォローし再度提出します。この場合は郵送でもOKなことが多いようです。

 

④ 経済産業局から確認書を受領する

経済産業局は、③が終わってから1ヶ月以内に確認書を発行します。

この確認書は確定申告時に必要になりますので、大切に保管しておきます。

 

ハ 資産を取得し、即時償却・特別償却が可能となる

資産の取得は必ず④の確認書を受領してから行わなければなりません。

 

⑤ 確定申告をする

確定申告には、別表十六(一)・(二)と特別償却の付表(七)が必要になります。

また、申請書の計画期間内(設備の取得等をする年度の翌年度以降3年間)について、「申請書の実施状況」を、設備の取得等を行った事業年度の翌事業年度終了後4ヶ月以内に、確認書の交付を受けた経済産業局に提出する必要があります。

いずれにせよ少し複雑ですので、確定申告などその後のフォローについては顧問の税理士か、生産性向上設備投資促進税制の適用を依頼した税理士にお願いした方が良いと思います。

 

中小企業投資促進税制も忘れず申告しよう!

中小企業投資促進税制で税額控除の上乗せ措置を利用するためには、以下のような手続が必要です。

  • 個人事業主の場合は、「中小企業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除に関する明細書」を確定申告書に添付します。
  • 法人の場合は、法人税の確定申告書に「別表六(十二)」と「適用額明細書」を添付します。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。生産性向上設備投資促進税制(と中小企業投資促進税制)について、全4回にわたってお送りしてきました。

生産性向上設備投資促進税制は設備投資をして新品の資産を取得した上で、節税までできるお得な方法ですが、最大限に活用できるのは2016年3月31日までです。

本稿で紹介したように、税理士・公認会計士の事前確認や、経済産業局の確認を考えると、スケジュール的にそれほど余裕はありません!

顧問の税理士が対応していないようでしたら、生産性向上設備投資促進税制の部分だけ他の税理士に依頼するという方法でも良いと思います。

また、生産性向上設備投資促進税制では投資利益率の基準を満たさなければなりませんが、「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」という制度もあります。こういった次善策についても、税理士・公認会計士に相談をすると提案されることもあると思います。

もし、まだ迷っている方がいらっしゃれば、まずは税理士・公認会計士に相談してみることをお勧めします!

もちろん、ビズバ!を運営する会計事務所シンシアでも生産性向上設備投資促進税制のご依頼を受付けていますので、よろしければお問い合わせよりご連絡いただければと思います。

 

 

生産性向上設備投資促進税制についてのご案内 ~設備投資をお考えの方へ~

民間投資活性化のための税制会税大網の決定により、生産性の向上につながる設備投資を促進するための税制措置である「生産性向上設備投資促進税制が創設されました。

当該税制の適用期間は2017年(平成29年)3月31日までと限られておりますので、設備投資を検討されている方は、積極的に利用されることをお勧め致します!

 さらに!

中小企業者の方はには生産性向上設備投資促進税制とは別に、「中小企業投資促進税制(中促)」を併用することで減税効果がアップします!

 設備投資をお考えの方は、是非一度お問い合わせください。


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