取締役会設置会社と取締役会非設置会社における決議方法の違い

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取締役会設置会社と取締役会非設置会社

 

会社がある程度大きくなってくると、取締役の数も増え、「ウチも取締役会を置こう」と思ってくるかもしれません。

取締役会は取締役が3名以上必要です。

しかし取締役会を設置する会社というのは、法律上も、より格の高い(という言葉が適切かわかりませんが)会社とみなされ、必要な手続きも増えてきます。

逆に、そのようなちゃんとした(これも適切な表現かわかりませんが)会社であれば、簡略かできる手続もあり、取締役会を設置したほうが良いかどうかは、単純には決められません。

そこで、本稿では、取締役会設置会社と取締役会非設置会社の決議事項について、比較しやすいように表形式で解説していきたいと思います。

公開会社と非公開会社の違いを理解しよう

取締役会設置会社と取締役会非設置会社の違いについて話す前に、避けて通れないのが、公開会社とそれ以外の会社の違いです。

俗に、上場をした会社を公開会社と呼んだりしますが、これは正しい名称ではありません。

会社法において「公開会社」とは、発行する株式の一部でも譲渡制限をかけていない株式のある株式会社のことを指します。

そして、その逆、つまり全ての株式に譲渡制限をかけている株式会社を、「公開会社でない株式会社」と呼びます。

以後、「非公開会社」とします。

なぜここで、公開会社と非公開会社の違いを確認したかというと、非公開会社は取締役会の設置は任意ですが、公開会社においては、取締役会が必須とされているためです。

したがって、株式会社は以下のような種類に分類されます(以後、委員会設置会社は説明を省略します)。

  • 取締役会を設置していない非公開会社
  • 取締役会を設置している非公開会社
  • 取締役会を設置している公開会社

そして、それぞれの会社の性質に合わせて必要な手続が定められています。

例えば、株式を発行する場合、下表のように決議機関が定められています。

 

株式発行に必要な決議

 

公開会社(取締役会設置は必須)

非公開会社(取締役会設置は任意)

第三者割当

通常の発行

取締役会決議

株主総会の特別決議

有利
発行

株主総会の特別決議

株主
割当

取締役会決議

株主総会の特別決議

※定款に定めれば、取締役・取締役会

株主への通知または公告

払込期日(または期間の初日)の2週間前までに必要

※株主割当のときは不要

※有利発行のときは不要

※有価証券届出書を提出しているときは不要

不要

 

また、株主総会の招集手続についても、以下のように複雑な規定となっています。

 

株主総会の招集

 

公開会社

非公開会社

取締役会設置会社

取締役会非設置会社

招集の通知期間

会日の2週間前の発送

会日の1週間前の発送

(ただし、書面または電磁的方法による議決権行使を認める場合を除く)

定款でさらに短縮可能

通知方法

書面または電磁的方法

書面または電磁的方法による議決権行使を認める場合は、書面または電磁的方法

左記以外は、口頭でも可

通知事項

① 株主総会の日時および場所

② 株主総会の目的である事項があるときは、当該事項

③ 株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨

④ 株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨

⑤ その他法務省令で定める事項

不要

招集通知の添付書類

書面または電磁的方法による議決権行使を認める場合には、議決権行使についての株主総会参考書類の交付が必要

定時総会の招集通知に際しては、以下の提供が必要

① 計算書類、事業報告

② 監査役設置会社では監査報告

③ 会計監査人設置会社では会計監査報告

不要

電磁的方法によるときは、株主の承諾が必要

 

つまり、取締役会設置会社といえど、公開会社か非公開会社かによって、必要な決議や招集方法が異なるということです。

この点に注意しながら、次から取締役会設置会社と取締役会非設置会社の違いを見ていきたいと思います。

 

取締役会設置会社と取締役会非設置会社の比較

それではまず、取締役会設置会社と取締役会非設置会社で大きく異なる点を表で比較してみます。

 

取締役会設置会社と取締役会非設置会社の比較(基本的事項)

 

取締役会設置会社

取締役会非設置会社

株主総会の招集通知

書面または電磁的方法

口頭でも可

株主総会の決議事項

会社法に規定する事項および定款で定められた事項に限る

株式会社に関する一切の事項

代表取締役の選定

必要

任意

代表取締役の選定方法

取締役会

定款、定款の定めに基づく取締役の互選または株主総会決議

監査役の設置

原則として必要

任意

計算書類等の株主への提供

必要

不要

計算書類等の備置き開始日

定時総会の日の2週間前

定時総会の日の1週間前

中間配当の可否

可能

不可

 

取締役会設置会社では代表取締役の選定が必須となっている点、監査役を設置しなければならない点に注意が必要です。

また、株主総会の招集は書面(か電磁的方法)で行わなければなりません。

 

それでは、いよいよ取締役設置会社と取締役非設置会社の決議機関の違いを見ていきたいと思います。

 

取締役会設置会社と取締役会非設置会社の比較(決議機関)

 

取締役会設置会社

取締役会非設置会社

株主総会の招集の決定

取締役会

取締役

募集株式の発行等における、募集事項の決定を株主総会から委任する場合の委任先

非公開会社が株主割当による募集株式の発行等・募集新株予約権の発行を行う場合の、募集事項の決定

(その旨の定款の定めがある場合に限る)

非公開会社が募集新株予約権の発行を行う場合における、募集事項等の決定を株主総会から委任する場合の委任先

株式の発行と同時にする資本金・準備金の額の減少であって、一定の要件を満たす場合における資本金・準備金の額の減少に関する事項についての決定

単元株式数の減少または廃止の定款変更

監査役の、取締役の不正行為等の報告先

譲渡制限株式の譲渡の承認・指定買受人の決定

取締役会

株主総会

株式無償割当の決定

募集株式が譲渡制限株式である場合の割当に関する事項の決定

譲渡制限株式を目的とする募集新株予約権または募集新株予約権が譲渡新株予約権である場合における募集新株予約権の割当に関する事項の決定

新株予約権無償割当に関する事項の決定

会社が取得条項付株式を取得する日の決定

会社が取得する取得条項付株式の決定

取得条項付新株予約権を会社が取得する日の決定

会社が取得する取得条項付新株予約権の決定

子会社の有する自己株式の取得に関する事項の決定

株式の分割の決定

競業および利益相反取引についての承認

会社と取締役間の訴訟において会社を代表する者の決定

株主総会

または

取締役会

株主総会

定款規定による、役員等の任務懈怠責任の一部免除の決定

取締役会

(当該責任を負う取締役の議決権行使不可)

取締役の過半数

(当該責任を負う取締役を除く)

計算書類・臨時計算書類等の承認

株主総会

および

取締役会

株主総会

定款に別段の定めを設けることが可能

取締役会設置会社となると、取締役会非設置会社では取締役が決定できていた事項が、取締役会決議事項になるなど、手続きが重くなるものがある一方、取締役会非設置会社では株主総会の決議事項であったものが、取締役会で決議できるようになるなど、手続きが軽くなるものもあります。

 

まとめ

いかがだったでしょうか?一概に取締役会設置会社のほうが手続きが楽だとか、そうではないだとか言えないことがお分かりいただけたと思います。どちらの会社形態をとるかについては、会社の状況や目指すべき方向性に応じて判断することが重要です。

会社の機関設計に関わる問題であり、思わぬ落とし穴がある場合もありますので、専門家の助言を仰ぐことをオススメします。その際の共通認識として、本稿に記載された各表をご利用いただければと思います。

 

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