保存版-迷える個人事業主に贈る、確定申告の税額控除全項目

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所得税税額控除

目次

税額控除使ってますか?

個人事業主の方が確定申告で悩む項目に所得控除と税額控除があると思います。

どちらも要件が複雑ですので、これらの特典を利用せずに申告している方も多いのではないでしょうか?
しかし、所得控除も税額控除もとっても効果的に節税手段ですので、是非この機会にマスターして上手に節税して頂きたいと思います。

前回は「保存版-迷える個人事業主に贈る、確定申告の所得控除全項目」と題して(似たタイトルですみません…)所得控除の解説をしましたので、今回は税額控除についてご説明したいと思います。

複雑な論点ですがなるべく分かりやすく説明していきたいと思いますので、是非、所得控除と同様、税額控除も有効活用してください!

そもそも税額控除って?

所得税は基本的に、収入金額から必要経費を控除した後の金額(これを所得といいます)に所得税率を乗じることで計算されます。

そして、この所得からさらに控除できる項目として、所得控除があるのでしたね(これについては「保存版-迷える個人事業主に贈る、確定申告の所得控除全項目」をご覧下さい)。

ですが、実は、所得税率を乗じて計算された所得税からさらに控除できる項目があるのです。
それが今回ご説明する税額控除項目です。

所得控除は税率を乗じた額が節税額になりますが、税額控除はその額がまるまる節税額となりますので、ある意味所得控除より効果的な節税法法と言えるんですね。

所得税の税額控除には以下のような項目がありますよ。

  1. 配当控除
  2. 外国税額控除
  3. 政党等寄附金特別控除
  4. 認定NPO法人等寄附金特別控除
  5. 公益社団法人等寄附金特別控除
  6. (特定増改築等)住宅借入金等特別控除
  7. 住宅耐震改修特別控除
  8. 住宅特定改修特別税額控除
  9. 認定住宅新築等特別税額控除
  10. 試験研究を行った場合の所得税額の特別控除
  11. エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の所得税額の特別控除
    (いわゆるグリーン投資減税)
  12. 中小企業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除
    (いわゆる中小企業投資促進税制)
  13. 生産性向上設備等を取得した場合の所得税額の特別控除
    (いわゆる生産性向上設備投資促進税制)
  14. 国内の設備投資額が増加した場合の機械等の特別控除
  15. 特定中小企業者が経営改善設備を取得した場合の所得税額の特別控除
  16. 雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除
  17. 雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除

とまあ、ずらっと並べてみましたが、これだけではよくわからないと思いますので、次のセクションから、これら税額控除項目を一つずつご説明していきたいと思います!

 

用語説明

おっと、その前に、税額控除の説明の際に避けて通れない3つの専門用語を紹介しておきます。もちろん、覚える必要は全くありません。これらの用語が出てきたときに、戻ってきて確認してみてください。

合計所得金額
合計所得金額とは、純損失、雑損失、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失及び特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除を適用する前の総所得金額および、 特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額、退職所得金額の合計額をいいます。

 

総所得金額等
総所得金額等とは、純損失、雑損失、その他各種損失の繰越控除後の総所得金額および、 特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等に係る配当所得の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額、退職所得金額の合計額をいいます。

 

課税総所得金額
課税総所得金額とは、総所得金額、土地等に係る課税事業所得等の金額(平成10年1月1日から平成25年12月31日までの間は適用なし)、分離課税の長期(短期)譲渡所得の金額、分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額及び先物取引に係る雑所得等の金額から、所得控除の合計額を差し引いた金額の合計額をいいます

 

配当控除

配当控除の要件

配当控除とは、総合課税の配当所得がある場合に、原則として、配当所得の金額の一定割合を控除できるというものです。
所得税は、給与所得や事業所得などの各種の所得金額を合計して総所得金額を求め、総所得金額に対して税額を計算し、確定申告をするのが原則です。これを総合課税と呼びます。

配当控除は配当所得に関する税額控除ですので、配当所得とは何かを確認しておきましょう。

配当所得とは、株主や出資者が法人から受ける配当や投資信託及び特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得をいいます。
公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託以外のものに限ります。

そしてこのうち、配当控除を受けられる配当所得とは、日本国内に本店のある法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、 証券投資信託の収益の分配などで、確定申告において総合課税の適用を選択した配当所得に限られます。

配当は基本的には源泉徴収されて入金されますよね。源泉徴収された税金は、最終的には確定申告で他の所得と合計して所得税額を計算することで精算されますので、通常であれば総合課税なのです。すなわち配当控除を利用できるというわけです。

ではなぜ、「総合課税の配当所得がある場合に」とわざわざ規定されているかというと、実は配当所得には確定申告不要制度というものがあり、これを選択すると確定申告しなくて良くなるんですね。そして、確定申告不要制度を選択した場合には、総合課税ではないので配当控除はできませんよと言うことです。

また、上場株式等に係る配当所得には申告分離課税というものもありまして、これを選択した配当所得についても、配当控除は適用できませんのでご注意下さい。

ちなみに、申告分離課税とは以下のようなものをいいます。

所得税というのは、総合課税が原則でした。
しかし、平成21年1月1日以後に支払を受けるべき上場株式の配当については、他の所得金額と合計せずに、つまり他の所得と分離して税額を計算し確定申告することを選択できるのです。
このように他の所得と分離して税額計算し、申告するものを申告分離課税と言い、申告分離課税を選択した配当所得には配当控除は適用できないというわけです。

この他にも配当控除が適用できない配当所得がいくつかありますので、ここに列挙しておきます。

  • 確定申告不要制度を選択したもの
  • 平成21年1月1日以後に支払を受けるべき一定の上場株式等の配当等で申告分離課税の適用を選択したもの
  • 外国法人から受ける配当等
  • 基金利息
  • 私募公社債等運用投資信託等の収益の分配に係る配当等
  • 国外私募公社債等運用投資信託等の配当等
  • 外国株価指数連動型特定株式投資信託の収益の分配に係る配当等
  • 特定外貨建等証券投資信託の収益の分配に係る配当等
  • 適格機関投資家私募による投資信託から支払を受けるべき配当等
  • 特定目的信託から支払を受けるべき配当等
  • 特定目的会社から支払受けるべき配当等
  • 投資法人から支払いを受けるべき配当等

 

配当控除の額

配当控除の額は、課税総所得金額が1千万円を超えるかどうかで、以下のように計算します。
課税総所得金額については、「用語説明」を確認してください。

その年分の課税総所得金額が1千万円以下の場合

配当控除の額=イ+ロ

イ 剰余金の配当等に係る配当所得×10%
特定株式投資信託の収益の分配に係る配当所得を含む。

ロ 証券投資信託の収益の分配金に係る配当所得※1×5%※2
※1 
特定株式投資信託の収益の分配に係る配当所得を除く
※2 証券投資信託の収益の分配に係る配当所得のうち、特定外貨建等証券投資信託以外の外貨建証券投資信託の収益の分配に係る配当所得については、2.5%

 

課税総所得金額が1千万円を超える場合

配当控除の額=イ×10%+ロ×5%

イ 剰余金の配当等に係る配当所得の金額-(課税総所得金額-1,000万円)※1
※1
 イがマイナスとなる場合は0とします。

ロ 剰余金の配当等に係る配当所得の金額-イ

証券投資信託の収益の分配金に係る配当所得については、配当控除の控除率が異なる場合があります。

 

外国税額控除

外国税額控除の要件

外国税額控除とは、国際的な二重課税を調整するために、一定額を所得税などから差し引くことができる税額控除です。

いきなり「国際的な二重課税」といわれても戸惑ってしまうかもしれませんね。簡単に説明いたします。

基本的に日本の所得税は、「居住者」と呼ばれる、日本に住所のある方を納税義務者としています。つまり、日本に住んでいれば、所得が生じた場所が日本であろうと、外国であろうと、そのすべての所得に対して所得税を課せられるわけです。属地的に課税がおこなわれているんですね。

一方で、諸外国の中には、どこに住んでいるかによらず、例えば国籍などの属人的な要素に基づいて所得税の納税義務者としている場合があります。ちなみに、この場合の外国の所得税を外国所得税と呼びます。

このように各国で納税義務者となる要件が違うため、例えば、日本に住むMr. Xに日本の所得税と外国所得税の両方が課税される場合が出てきます。

これが、国際的な二重課税の意味するところです。そして、外国税額控除は、Mr. Xの所得に二重に課税されることを防ぐ仕組みなのです。

そして、このような趣旨から、以下のような外国所得税が外国税額控除の対象外とされています。

  • 税を納付する人が、納付後、任意にその税額の還付を請求することができるもの
  • 税を納付する人が、納付が猶予される期間を任意に定めることができるもの
  • 複数の税率の中から納税者と外国当局等との合意により税率が決定された税
    (複数の税率のうち最も低い税率を上回る部分に限ります。)
  • 加算税や延滞税などの附帯税に相当するもの
  • 金融取引における仕組み取引などの通常行われる取引とは認められない不自然な取引に基因して生じた所得に対して課されたもの
  • 出資の払戻し等、資本等取引に対して課されるもの
  • その年以前の非居住者期間に生じた所得に対するもの
  • 租税条約により外国税額控除の適用がないとされたもの

 

外国税額控除の額

外国税額控除の額は以下の計算式で計算されます。

外国税額控除限度額=その年分の所得税の額×(その年分の国外所得金額/その年分の所得総額)

所得の総額のうち、国外所得の占める割合に対応する所得税額を控除できるという仕組みです。

もちろん、もともとの外国所得税の額が外国税額控除限度額に満たない場合は、もともとの外国所得税の額が外国税額控除限度額となります。これは、二重課税の排除という趣旨からも妥当といえますね。

一方で、外国所得税の額が外国税額控除限度額を超える場合には、実際の外国税額控除額は、外国税額控除限度額と次の1.または2.の少ない方の金額の合計額となります。

  1. 控除対象外国所得税の額から所得税の控除限度額を差し引いた残額
  2. 次の算式により計算した復興特別所得税の控除限度額
    復興特別所得税の控除限度額=その年分の復興特別所得税額×(その年分の国外所得金額/その年分の所得総額)

また、外国税額控除には国外所得の発生年と外国所得税の納付年とのずれを調整するために繰越制度が設けられていたり、外国所得税額が減額された場合の調整方法が定められていますが、本稿ではあまりにマニアックになりすぎるため扱いません。該当する方は、国税局電話相談センター等に問い合わせてみましょう。

なお、外国税額控除を受けるためには、確定申告書に「外国税額控除に関する明細書」などを添付する必要があります。

 

政党等寄附金特別控除

政党等寄附金特別控除の要件

一定の寄附金をした場合に寄附金控除という所得控除を適用できるということは、以前「保存版-迷える個人事業主に贈る、確定申告の所得控除全項目」にて説明しましたが、そのうち、政党又は政治資金団体に対する政治活動に関する寄附金については、この政党等寄附金特別控除を選択することもできます。どちらか有利なほうを選択すれば良いというわけです。

政党等寄附金特別控除の対象となる寄附金は、「政治資金規正法第3条第2項に規定する政党及び政治資金規正法第5条第1項第2号に規定する政治資金団体に対する政治活動に関する寄附で、政治資金規正法第12条又は第17条の規定による報告書により報告されたもの」と定められていますが、実際に寄附先に問い合わせてみるのが確実で手間もかかりません。

なお、政党等寄附金特別控除を受けるには、確定申告書に「政党等寄附金控除特別控除額の計算明細書」などを添付する必要があります。

支払った年分の所得控除としての寄附金控除の適用を受けるか、または次の算式で計算した金額(その年分の所得税額の25%相当額を限度とします。)について税額控除の適用を受けるか、 いずれか有利な方を選択することができます。

 

政党等寄附金特別控除の額

政党等寄附金特別控除の額は以下の算式で計算します(ただし、所得税額の25%相当額を限度とします)。

(政党等に対する寄附金合計額-2,000円)×30%

また、「政党等に対する寄附金合計額」は、総所得金額等の40%相当額が限度とされますので、それ以上の寄附を行ったとしても税額控除の対象とはなりません。

所得控除の寄附金控除額は、「特定寄附金の合計額-2,000円」(総所得金額等の40%が限度額)であり、これに所得税率を掛けたものが節税額ですので、所得税だけを考えると、所得税率が30%を超える場合には、所得控除である寄附金控除を利用したほうが有利となります。

しかしながら、実際には所得税だけでなく住民税についても考えなければ、どちらが有利となるかは判断できませんので、寄附を多額にした年は、税理士にどちらが有利となるか相談するのが良いでしょう。

 

認定NPO法人等寄附金特別控除

認定NPO法人等寄附金特別控除の要件

上記の政党等寄附金特別控除の同系統の税額控除がこの認定NPO法人寄附金特別控除です。

政党等ではなく、認定NPO法人等に寄附金を支出した場合の税額控除です。

これも、税額控除の対象となる寄附金が決まっていますので、認定NPO法人に寄附をしたときは、寄附先に認定NPO法人等寄附金特別控除の対象となる寄附金かどうかを尋ねると良いと思います。

そして、所得控除の寄附金控除との選択適用となっている点や、確定申告の際に添付書類が必要な点も、政党等寄附金特別控除と同様です。

 

認定NPO法人等寄附金特別控除の額

税額控除の額を求める算式も政党等寄附金特別控除と似ていて、以下の通りです(認定NPO法人等寄附金特別控除額も所得税額の25%相当額を限度とします)。

(認定NPO法人等に対する寄附金合計額-2,000円)×40%

「認定NPO法人等に対する寄附金合計額」は総所得金額等の40%相当額が限度と言う点も政党等寄附金特別控除と同じです。

注意点は、2,000円を差し引いた後の控除割合が政党等寄附金特別控除では30%でしたが、認定NPO法人等寄附金特別控除では40%となっている点です。

 

公益社団法人等寄附金特別控除

公益社団法人等寄附金特別控除の要件

寄附金関係の税額控除が続いていますが、これも政党等寄附金特別控除と同系統の税額控除です。
政党等ではなく、公益社団法人等に寄附金を支出した場合の税額控除です。

これも、税額控除の対象となる寄附金が決まっていますので、以下の1.~4.のような法人に寄附をしたときは、寄附先に公益社団法人等寄附金特別控除の対象となる寄附金かどうかを尋ねると良いと思います。

  1. 公益社団法人及び公益財団法人
  2. 私立学校法第3条に規定する学校法人及び同法64条第4項の規定により設立された法人
  3. 社会福祉法人
  4. 更生保護法人

そして、所得控除の寄附金控除との選択適用となっている点や、確定申告の際に添付書類が必要な点も、政党等寄附金特別控除と同様です。

 

公益社団法人等寄附金特別控除の額

税額控除の額を求める算式も政党等寄附金特別控除と似ていて、以下の通りです(これも所得税額の25%相当額を限度とします)。

(公益社団法人等に対する寄附金合計額-2,000円)×40%

「公益社団法人等に対する寄附金合計額」は総所得金額等の40%相当額が限度と言う点も政党等寄附金特別控除と同じです。

なお、税額控除限度額である所得税の25%相当額に達するか否かは、認定NPO法人寄附金特別控除の額と合わせて判定します。一方、政党等寄附金特別控除の税額控除限度額は、これとは別枠で判定します。

 

マイホームの新築、取得又は増改築等をした場合の税額控除

住宅関係は以下のような様々な税額控除が設定されています。どれも節税効果が高く利用したい制度ではありますが、条件等が複雑なため、本稿ではどのような場合にどのような控除を適用できるかを列挙し、場面ごとに国税庁のHPへリンクさせるにとどめます。

以下に該当するような場合には、住宅ローンを借り入れた金融機関や住宅を新築、取得、増改築した不動産会社などに、税額控除の対象となるかどうかを確認すると良いでしょう。

住宅ローン等を利用してマイホームの新築、取得又は増改築等をしたとき

既存住宅について住宅耐震改修、バリアフリー改修工事、省エネ改修工事をした場合や認定住宅の新築等をしたとき

 

試験研究を行った場合の税額控除

試験研究を行った場合の税額控除の要件

試験研究を行った場合の税額控除として、以下の4つがあります。

  1. 試験研究費の総額に係る特別控除
  2. 特別試験研究に係る税額控除制度
  3. 中小企業技術基盤強化税制における税額控除
  4. 試験研究費の額が増加した場合等の税額控除

1.の「試験研究費の総額に係る税額控除」は、その年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される試験研究費の額がある場合に、その試験研究費の額の一定割合の金額をその年分の総所得金額に係る所得税額から控除することを認めるものです。

また、2.の「特別試験研究に係る税額控除」は、その年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される試験研究費の額のうちに特別試験研究費の額がある場合に、その特別試験研究費の額の一定割合の金額をその年分の総所得金額に係る所得税額から控除することを認めるものです。

どちらも青色申告書を提出する個人を適用対象とし、事業を廃止した年の所得税には適用できません。

「試験研究費の総額に係る税額控除」が対象とする試験研究費の額とは、以下のような費用を言います。ただし、試験研究に充てるために他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額が試験研究費の額となります。

  • 製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する原材料費、人件費及び経費
  • 他の者に試験研究を委託するために支払う費用

 

「特別試験研究に係る税額控除」が対象とする特別試験研究費の額とは、試験研究費の額のうち、以下のような試験研究にかかるものを言います。

  • 国の試験研究機関、大学その他の者と共同して行う試験研究
  • 国の試験研究機関、大学又は中小企業者に委託する試験研究
  • その用途に係る対象者が少数である医薬品に関する試験研究

 

試験研究を行った場合の所得税額の特別控除の額

「試験研究費の総額に係る税額控除」の限度額は、その年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される試験研究費の額に、税額控除割合を乗じて計算した金額です(その年分の事業所得の金額に係る所得税額の30%相当額が限度。
ただし、税額控除限度額が所得税額の30%相当額を超えるため税額控除限度額の全部を控除しきれなかったときには、控除しきれなかった金額については、一定の要件の下に1年間の繰越しが認められます)。

ポイントは以下の通りです。

  • 事業所得の必要経費であること
  • 上記の試験研究費の要件に合致していること
  • 事業所得の所得税額の30%が税額控除の限度額であること

そして、試験研究費の額に乗じる税額控除割合は原則10%です。
ただし、試験研究費割合が10%未満である場合は次の算式によって計算した割合が税額控除割合となります。
試験研究費割合=試験研究費の額 ÷適用年分および適用年前3年以内の各年分の売上金額の平均額

(試験研究費割合×0.2)+8%

また、青色申告書を提出する個人のうち、常時使用する従業員の数が千人以下の方は「中小企業者」に該当し、税額控除割合が12%に増えます。

さて、「試験研究費の総額に係る税額控除」の説明が終わりましたので、ようやく「特別試験研究に係る税額控除」の限度額の説明に移れます。

特別研究に係る税額控除限度額は、その年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される特別試験研究費の額に特別研究税額控除割合を乗じて計算した金額です。
試験研究費の総額に係る税額控除の限度額と似ていますね。

そして、特別研究税額控除割合は(12%-試験研究費の総額に係る税額控除割合)とされています。

つまり、12%のうち、試験研究費の総額に係る税額控除で使用した税額控除割合を差引いた割合を特別試験研究費に乗ずるというわけです。

試験研究費の総額に係る税額控除での税額控除割合は、基本的には10%ですが、青色申告書を提出する中小企業者や、試験研究費割合が10%未満の場合には変動するのでしたね(忘れちゃった方は、もう一度上の説明を確認してみてください)。

また、試験研究費の額が増加した場合についても税額控除があります。

まずは、以下の用語を押さえておいてください。

基準試験研究費の額
基準試験研究費の額とは、適用年前2年以内の各年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される試験研究費の額のうち最も多い額をいいます。つまり、過去2年での最高額。

 

比較試験研究費の額
比較試験研究費の額とは、適用年前3年以内の各年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される試験研究費の額を平均した額をいいます。つまり、過去3年の平均額。

 

増加試験研究費の額
増加試験研究費の額とは、試験研究費の額から比較試験研究費の額を控除した残額をいいます。つまり、過去3年の平均額を上回る額。

さて、試験研究費の額が増加した場合についての税額控除でした。

以下の条件を共に満たす場合には、増加試験研究費の額に、増加割合(増加割合は30%が限度)を乗じて計算した金額を税額控除することができます。

  1. 増加試験研究費の額が比較試験研究費の額の5%を超える
  2. 試験研究費の額が基準試験研究費の額を超える

まず、1.について、増加試験研究費の額とは、今年の試験研究費の額が、過去3年の試験研究費の平均である比較試験研究費の額を上回る部分ですから、その上回り具合というか、成長具合が5%超でなければならないというわけです。

一方、2.については過去2年で最高の試験研究費の額が基準試験研究費ですから、今年は記録を更新しなければならないということです。

さて、このような状況のときには、増加試験研究費の額に増加割合を乗じた額を税額控除できるのということです。

なお、増加割合は、増加試験研究費の額÷比較試験研究費の額で求めます。過去3年間に比べどれだけ増加したかということです。

そして、これらの税額控除を受けるためには、確定申告書等に税額控除を受けようとする金額の計算明細書を添付して申告する必要があります。

 

エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の所得税額の特別控除(いわゆるグリーン投資減税)

グリーン投資減税税額控除の要件

中小企業者に該当し、かつ青色申告をしている方が新品のエネルギー環境負荷低減推進設備等の取得等をし、これを一定の事業の用に供した場合において、取得価額の30%特別償却の適用を受けないときに、一定の金額を控除するものです。

この税額控除の対象となるの資産は、エネルギー利用の目的により5つの区分に分けられていて、その区分により税務申告の方法が異なります。

こちらの資源エネルギー庁のグリーン投資減税のページが詳しいので参照してください。

 

グリーン投資減税税額控除の額

特別償却及び即時償却に加え、7%の税額控除との選択が可能です。

ただし、供用年の事業所得に係る所得税の額の20%相当額が税額控除の限度となります(税額控除限度額を超える金額については、その後1年間繰り越すことが可能)。

なお、税額控除とは直接関係ありませんが、もう一方の選択肢である特別償却とは設備等の資産を取得し、その日から1年以内に事業の用に供した場合、事業の用に供した日を含む事業年度において30%の償却ができるというものです。

また、税額控除を受けるには、確定申告書等に控除を受ける金額の計算明細書を添付する必要があります。

 

その他設備投資関連の税額控除

その他設備投資関連の税額控除の要件および額

上記のグリーン投資税制のほかにも、設備投資関連の税額控除が用意されています。

まずは、「中小企業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除(いわゆる中小企業投資促進税制)」について説明いたします。

これは、青色申告者である中小企業者が、機械装置等の対象設備を取得や製作等をした場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除(※税額控除は、個人事業主、資本金3,000万円以下法人が対象)が選択適用できるものです。

上のグリーン投資税制と似ていますねが、こちらは中小企業庁の管轄です。

また、生産性の向上に資する設備を取得等した場合には、「生産性向上設備等を取得した場合の所得税額の特別控除(いわゆる生産性向上設備投資促進税制)」を利用することができ、税額控除割合が7%から10%に引き上げられます(上乗せ措置)。
しかしこの場合には、30%の特別償却を即時償却にすることも可能ですので、どちらが税務上有利になるか再度視乳レーションし判断したほうが良いと思います。

また、生産性向上設備投資促進税制については「お忘れなく!生産性設備投資の即時償却期限迫る!」もご覧下さい。

税額控除を利用するには、確定申告書に「中小企業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除に関する明細書」を添付する必要があります。

なお、中小企業投資促進税制についてはこちらのミラサポの資料がよくまとまっていますので、参考にしてみてください。

そのほか設備投資関連の特別控除としては、

  • 国内の設備投資額が増加した場合の機械等の特別控除
  • 特定中小企業者が経営改善設備を取得した場合の所得税額の特別控除

の2つがあります。

「国内の設備投資額が増加した場合の機械等の特別控除」は、青色申告者が取得等をした生産等資産で取得価額の合計額が、個人が有する減価償却資産の償却額を超え、かつ、比較取得資産総額の110%相当額を超える一定の場合に、適用できる税額控除です。

また、「特定中小企業者が経営改善設備を取得した場合の所得税額の特別控除」は、一定の青色申告者である中小企業者が、経営改善設備の取得等をした場合に適用できる税額控除です。

どちらも特別償却との選択適用となっています。

グリーン投資減税と併せて、これら設備投資系の減税政策は節税インパクトも大きいのですが、どの節税策を採用すれば有利となるかはシミュレーションが必要です。必ず、設備投資前に税理士に相談することをお勧めします。

 

雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除

雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除の要件

個人が平成24年から平成28年までの各年において、適用年末の雇用者の数が適用前年末の雇用者の数に比して2人以上(中小企業者以外であれば5人以上)かつ、10%以上増加している場合に認められる税額控除です。

この税額控除を適用するには、次の1.~5.の要件を全て満たしている必要があります。
(なお、適用前年の12月31日における雇用者の数が零である場合には、3.の要件は不要となります)

  1. 適用年及び適用前年に事業主都合による離職した雇用者がいないこと
  2. 基準雇用者数が2人以上(中小企業者以外なら5人以上)であること
  3. 基準雇用者割合が10%以上であること
  4. 給与等支給額が比較給与等支給額以上であること
  5. 雇用保険法第5条第1項に規定する適用事業(一定の事業を除きます。)を行っていること

いくつか専門用語がでてきたので、整理しておきましょう。

基準雇用者数
基準雇用者数とは、適用年の12月31日における雇用者の数から適用前年の12月31日における雇用者の数を引いた数です。つまり、増加した雇用者数です。

 

基準雇用者割合
基準雇用者割合とは、基準雇用者数÷適用前年の12月31日における雇用者の数 で計算される割合です。つまり、増加率です。

 

給与等支給額
給与等支給額とは、雇用者に対して支給される給与等で、適用年の年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される金額をいいます。

 

比較給与等支給額
比較給与等支給額とは、適用前年の年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される金額に、その必要経費に算入される金額に適用年の基準雇用者割合を乗じて計算した金額の30%を加算した金額をいいます。

この制度の適用を受けるためには、公共職業安定所に雇用促進計画の提出を行い、都道府県労働局又は公共職業安定所で、上記の要件についての確認を受け、その際交付される雇用促進計画の達成状況を確認した旨の書類の写しを確定申告書に添付する必要があります。

また、この制度における雇用者とは、個人の使用人のうち雇用保険法の一般被保険者であるものをいい、個人の特殊関係者は除かれますので注意してください。

なお、個人の特殊関係者とは、次のような方々です。

  1. 個人の親族
  2. 個人と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
  3. 上記、 2.以外の者で個人から生計の支援を受けているもの
  4. 上記、 3.の者と生計を一にするこれらの者の親族

また、この税額控除を適用した場合、次の「雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除」の適用はできません。

 

雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除の額

雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除の税額控除限度額は基準雇用者数に40万円を乗じた金額です。
ただし、事業所得の所得税額の20%(中小企業者以外なら10%)が限度額となります。

また、確定申告書等に税額控除金額の計算明細書を添付する必要があります。

 

雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除

雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除の要件

青色申告者が、雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が2%以上(平成28年分については3%以上)であるときに、一定額を税額控除できる制度です。

この制度の適用を受けるためには、以下の2つの要件を共に満たしている必要があります。

  • 雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額以上であること
  • 平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えること

「雇用者給与等支給増加額」「雇用者給与等支給額」「比較雇用者給与等支給額」「平均給与等支給額」「比較平均給与等支給額」などの専門用語は煩雑になりますので、ここでの説明は省略します。

また、この制度における国内雇用者とは、個人の使用人のうち個人の有する国内の事業所に勤務する者で、当該個人の国内に所在する事業所につき作成された労働基準法第108条に規定する賃金台帳に記載された者をいいます。「雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除」と同様、個人の特殊関係者は除かれますので注意してください。

また、この特別控除と適用した場合には、雇用者の数が増加した場合の税額控除は受けられません。どちらが有利となるか、税理士、社労士に相談することをお勧めします。

 

雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除の額

この制度は、雇用者給与等支給増加額の10%相当額を所得税額から控除します。

但し、税額控除限度額は、適用年の年分の事業所得の金額に係る所得税額の20%(中小企業者以外なら10%)相当額を超える場合には、その相当額が限度となります。

この制度の適用を受けるためには、確定申告書等に控除を受ける金額の記載及びその金額の計算に関する明細書を添付する必要があります。

 

まとめ

さて、これで所得税の税額控除を全て説明しましたが、ご自身に当てはまりそうなものはあったでしょうか?

税額控除は節税額が大きなものが多い反面、所得控除よりさらに複雑だったと感じたと思います。適用には税理士等の専門家の助けを借りることをお勧めいたします。

税額控除を上手に適用して、なるべく無駄な税金を払わずに済むようにしましょう!

 

ビズバ!を運営する会計事務所シンシアでは一緒に働く仲間を募集しています!

以下のような職種で、メンバーをお迎えしたいと考えています(募集職種は時期により異なります)。


 


『幹部候補生』
経験をお持ちの方には、幹部候補生として活躍を期待しています。
「より専門性の高い業務に挑戦したい」「自らもプレイヤーとして活躍しつつ、マネジメントも将来的に行いたい」
幹部候補生に応募の方には部門長となって頂くことが可能です!


『税務会計スタッフ』
必ずしも、会計事務所での長期の実務経験が必要ではありません。社会人としての当たり前のマナーをお持ちの方、歓迎です。
組織をより強固にするためにも、人財採用と教育は不可欠。「お客様の笑顔を見たい」と思える人財を募集・育成します。


『会計補助スタッフ』
簿記の知識があり会計ソフトへの入力の経験がある方で扶養の範囲内で働きたい方、大歓迎です。
育児と仕事の両立を積極的に応援しておりますので、働く時間も御相談の上一緒に決定していきましょう。


ご応募・お問い合わせはこちら

SNSでもご購読できます。

ビズバ!ではお伝えしきれない、よりタイムリーな補助金・助成金・税制などのお得な情報や、資金調達に関する裏話などを、メルマガで配信しています。 メルマガ受信ご希望の方は、メールアドレスを入力してください!

コメント

コメントを残す

*